経営者イノベーション委員会、産官学の議論をもとに6つの提言をとりまとめ
一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)が統括本部を務める経営者イノベーション委員会(EIC:Executive Innovation Committee)は、2026年8月3日に神田明神(東京都千代田区)で開催した「第3回 経営者イノベーション・ラウンドテーブル」での議論を6つの提言にとりまとめました。
今回の会合は委員を中心とする少人数の非公開円卓「メンバー・ラウンドテーブル」として実施され、産官学のリーダー45名が参加しました。提言は行政への要望ではなく、産官学それぞれが自ら何を引き受けるかを明確にした相互コミットメントと位置づけられています。

産官学45名による議論と共有された4つの構造課題
当日は冒頭、経済史家である岡崎哲二氏(明治学院大学教授/東京大学名誉教授)による講演が行われ、現在の日本型経済システムの原型が戦時統制経済に由来することを確認しました。その後、創造産業、環境イノベーション、イノベーション・ディストリクト、経済安全保障という4つのテーマ別テーブルで自組織の実践について議論したのち、産官学のセクター別に座り直して自セクターが果たせていない役割について話し合いました。
領域の異なる4つの卓において、同時に以下の4つの構造課題が挙げられました。

- 分断 —「同じ日本語なのに言葉が通じない」。共通言語と翻訳機能の欠落
- 時間軸の不整合 — 10〜15年を要する事業と、四半期・単年度で動く意思決定
- 失敗を資産にできない評価軸 — 新規事業と既存事業を同一のROI基準で測る構造
- 越境人材の不在 — つなぎ手に定義・選抜・権限・報酬のいずれもない
議論を通じ、日本に欠けているのは資源や技術、創造性ではなく、それらを社会的価値へ変換する機構であるという認識が強く共有されました。
ラウンドテーブルでの議論をもとにまとめられた提言は以下の6項目です。提言の詳細は今後、順次公開される予定となっています。
- つなぎ手を職能として立てる
- すでにある”場”を交差点として使う
- 時間軸をそろえる
- 失敗を資産にする
- 実務知を制度設計の入口に
- 次世代を主体に
今後の展開とSIMA2027の審査体制
EICは、2027年2月25日に「公開ラウンドテーブル」を開催する予定です。海外から専門家を招いて日本のイノベーションを外側からの視点で照らし直すほか、「イノベーション・エコシステム研究会」を発足させ、一連の議論を政策提言の白書として集約する計画です。
また、活動の柱のひとつである「システマティック・イノベーション経営賞」(SIMA: Systematic Innovation Management Award)の本年度(SIMA2027)の審査も開始されました。審査・運営体制は以下のとおりです。
- 審査アドバイザー(50音順・敬称略):
大嶋洋一(東京科学大学 副学長 兼 産学共創機構 機構長、教授) 田中里沙(事業構想大学院大学 学長) 玉田俊平太(関西学院大学 イノベーション・システム研究センター長) 西垣淳子(政策研究大学院大学 政策研究院 特任教授) 濱口秀司(ビジネスデザイナー) 白坂成功(Japan Innovation Network理事/慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 委員長、教授) 原 弘美(SAPジャパン株式会社 常務執行役員/SAP Labs Japan マネージングディレクター) 橋本大也(デジタルハリウッド大学デジタルコミュニケーション学部 教授)
- 総合アドバイザー(50音順・敬称略):
加藤公敬(元日本デザイン振興会 常務理事) マグナス・カールソン(Amplify パートナー)
- 総合責任者:
紺野 登(Japan Innovation Network Chairperson 理事)
組織概要
- 経営者イノベーション委員会(EIC:Executive Innovation Committee)
2025年4月に設立。今後の日本の社会と経済をイノベーションを通じて生き生きとしたものにする施策を討議し、社会に啓発することをめざす。Japan Innovation Networkに統括本部を置く。株式会社三井住友フィナンシャルグループ、富士通株式会社、日本たばこ産業株式会社、ダイキン工業株式会社、東急株式会社、TDK株式会社、コクヨ株式会社、三菱地所株式会社、株式会社リコーが企業委員を務め、産業競争力懇談会(COCN)、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)、一般社団法人Future Center Alliance Japan(FCAJ)が後援。 URL: https://transformjapan.org/introduction_eirt/
- 一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)
日本を「すべての組織からイノベーションが起こる国へ」を目的に2013年に設立。100社以上の日本の大手上場企業から中小企業に至るまで、企業のイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の導入やイノベーション・プロジェクトの支援を実施。ISOの多国籍委員会で日本を代表してIMSの規格開発を行う国内審議団体を務める。 URL: https://ji-network.org/
本記事は一般社団法人Japan Innovation Networkの発表をもとに作成しました。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



