雪印メグミルクなど、母乳中糖鎖と乳児の気管支炎・食物アレルギーとの関連を発表
雪印メグミルク株式会社と雪印ビーンスターク株式会社は、共同で実施している第3回全国母乳調査において、出産後1~2か月の母乳に含まれる特定の糖鎖が、乳児の1歳までの気管支炎罹患歴および食物アレルギー発症歴と関連する可能性が示されたと発表しました。日本人を対象に糖タンパク質糖鎖を含む母乳中の糖鎖と乳児の感染症・アレルギーとの関連を探索的に解析した報告としては初めて(当社調べ。2026年6月3日時点でPubMed等の文献データベースを用いて調査した範囲)となります。本研究成果は、栄養学研究に関する国際学術雑誌「European Journal of Nutrition」に掲載されました。
日本人母子200組の母乳と乳児の健康状態を解析
母乳にはヒトミルクオリゴ糖(HMO)をはじめとする多様な糖鎖が含まれており、乳児の免疫機能や腸内環境、感染症・アレルギーとの関連が注目されています。しかし、日本人母子を対象として複数の母乳中の糖鎖と乳児の健康との関連を網羅的に検討した研究はこれまで報告されていませんでした。
そこで今回の研究では、日本人の母子200組を対象に出産後1~2か月に採取した母乳中の糖鎖と、乳児の1歳までの感染症・アレルギーとの関連を解析しました。11種類のHMOに加え、28種類の糖タンパク質糖鎖を測定対象とし、母乳中の糖鎖と乳児の健康状態との関連をロジスティック回帰分析により評価しました。
特定の糖鎖濃度と気管支炎やアレルギーの関連傾向
解析の結果、母乳に含まれる特定の糖鎖が乳児の気管支炎や食物アレルギーと関連する可能性が示されました。
具体的には、シアル酸を含む一部のN結合型糖鎖(糖タンパク質糖鎖の一種)やHMOの一種である6′-SLにおいて気管支炎との関連が示され、これらの糖鎖濃度が高い母乳を摂取していた乳児では1歳までの気管支炎罹患が少ないこととの関連が確認されました。
また、非分泌型母乳に多く含まれる糖鎖成分の一部(3-FLなど)については食物アレルギーとの関連が示され、これらの糖鎖濃度が高い母乳を摂取していた乳児では1歳までの食物アレルギー発症が少ないこととの関連が示されました。なお、本研究は観察研究であり、因果関係や特定成分の有効性を示すものではないとしています。
第3回全国母乳調査について
本研究の基盤となった第3回全国母乳調査は、母親の食事や生活習慣などの背景と母乳成分との関連、ならびに母乳成分が乳児の発育や健康に及ぼす影響について包括的に検証することを目的とした調査です。
母乳哺育中の母親1,210名を対象に、母乳の提供とともに母親の食事内容や生活習慣、乳児の発育状況および疾病状況に関するアンケートを実施しました。母乳は2015年から2020年にかけて収集され、乳児の発育・健康状況については2016年から2025年まで追跡調査が行われています。
発表論文の概要
発表された論文の概要は以下の通りです。
- 論文タイトル:An exploratory analysis of the associations of human milk oligosaccharides and N-/O-glycans with infectious and allergic outcomes in the first year of life: The Japanese Human Milk Study Cohort t(邦題:母乳中オリゴ糖及びN/Oグリカンと乳児の1年間の感染症およびアレルギーとの関連に関する探索的解析:日本人母乳コホート研究)
- 著者:辻森 祐太(雪印ビーンスターク(株)商品開発部、雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所)、山口 敏幸(雪印ビーンスターク(株)商品開発部、雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所)、鳥羽 保宏(雪印ビーンスターク(株)商品開発部、雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所)、福留 博文(雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所)、酒井 史彦(雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所)、上野 宏(雪印ビーンスターク(株)商品開発部、雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所)、日暮 聡志(雪印ビーンスターク(株)商品開発部)
- 掲載誌:European Journal of Nutrition
- DOI:https://doi.org/10.1007/s00394-026-04074-9
本記事は雪印メグミルク株式会社および雪印ビーンスターク株式会社の発表をもとに作成しました。
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