上部尿路がん術後のピラルビシン膀注療法で再発予防効果を確認 JCOGなどの研究
日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group:JCOG(ジェイコグ))の泌尿器科腫瘍グループは、上部尿路(腎盂・尿管)がん患者を対象に、腎尿管全摘除術後のピラルビシン膀胱内注入療法の有効性を検証する国内多施設によるランダム化比較第III相試験を実施しました。その結果、術後24時間以内にピラルビシンを膀胱内に1回投与するピラルビシン膀注療法により、無再発生存期間が延長することが示されました。本研究成果は医学雑誌「The Lancet Oncology」に2026年7月10日付で掲載されています。
上部尿路がん術後の再発課題と臨床試験の概要
上部尿路がんでは、がんが生じた側の腎臓から尿管までを切除する腎尿管全摘除術が標準治療として行われます。しかし、腎盂・尿管に生じたがん細胞が尿によって膀胱に運ばれ生着・増殖することが原因と考えられており、手術後2年以内に膀胱内でがんが再発することが2~5割に認められていました。これまで有効な再発予防法は確立しておらず、術後の経過観察が標準治療となっていました。
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院(所在地:東京都中央区、病院長:瀬戸 泰之)がデータセンターや運営事務局としての中央支援機構を担うJCOGは、標準治療の確立を目指して本試験を実施しました。対象となったのは臨床病期0期からIII期と診断された上部尿路がん患者で、腎尿管全摘除術後の経過観察群と、手術後24時間以内のピラルビシン膀注療法群を比較し、3年間の追跡期間で膀胱内再発および遠隔転移がなく生存している期間である無再発生存期間を評価しました。
試験の結果、ピラルビシン膀注療法を行った患者群は、従来の標準治療である経過観察を行った患者群と比べて無再発生存期間が延長し、術後の再発予防に有効であることが確認されました。ピラルビシン膀注療法は膀胱がんの術後再発予防において標準治療として行われていますが、上部尿路がんの術後再発予防においても有効性が示された形です。
治療に伴う副作用としては血尿などが認められたものの、いずれも一過性で回復したことから、許容可能な範囲であると判断されています。
今後の展望と研究成果の公表


本研究成果は、上部尿路がんにおける標準治療に関する知見を示すものとして、学術雑誌「The Lancet Oncology」に掲載されました。JCOGは、がん患者にとって最善の医療を確立するための臨床試験を今後も継続していくとしています。
本記事は国立研究開発法人国立がん研究センターの発表をもとに作成しました。
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