インドネシアで医療MaaSを活用した在宅医療の実証実験開始

MRT株式会社のグループ会社であるメドリング株式会社は、インドネシアにおいて医療MaaSを活用したスマート在宅医療の実証実験を開始する。メドリングは、MRT、わかさクリニックグループ等の日系医療機関と連携し、トヨタ車体株式会社の海外関連会社PT. Sugity Creativesから医療MaaS車両の提供を受ける。本事業は、経済産業省「令和6年度ヘルスケア産業国際展開推進事業」に採択されており、東京大学大学院医学系研究科老年病学の小川純人教授が監修医師として就任予定だ。

インドネシアでは、人口増加に伴い高齢者数も増加し、医療ニーズが高まることが想定される一方、医療インフラは十分に整っていない。1万人あたりの医師数が4.7人と少なく、島国ゆえの地域格差も大きい。こうした状況下、イーロン・マスク氏率いるスペースX社が2024年5月より衛星通信サービス「スターリンク」をインドネシアで開始し、インターネット通信を前提とした医療MaaSの運用が可能になった。

メドリングは、医療MaaS車両にスターリンクを活用してインターネットを確保し、看護師などの医療従事者が搭乗、医師は原則として遠隔地から指導・診断を行う。在宅医療施設は日系医療機関、または現地医療機関をオーナーとして募集し、新規、またはM&Aによって開業、メドリングがその下で医療MaaS等の運営を担う。メドリングは、現地クリニックの運営や、ASEANクリニック向けクラウド電子カルテ「MEDi」の提供により、運営統括と在宅医療オペレーションの管理を支援する。

MRTは日本で医療人材プラットフォームを展開し、医療MaaS運用のノウハウを構築している。また、Docquity社と資本業務提携を締結し、医療人材紹介を含む人材ビジネスを独占的に実施する。わかさクリニックグループは、日本において在宅医療関連施設を14カ所展開し、そのノウハウに基づきメドリングの運営統括を支援する。Sugity Creatives社は、医療MaaS車両の作製・提供やメンテナンスを担う。

最適なオペレーションノウハウを構築するため、2024年8月より実証実験の準備を開始し、2025年初頭までに完了予定だ。同時に立地や価格などを決定するための調査を進め、2025年中に1施設目を開業する計画である。MRTグループは、日本およびASEANで展開する医療プラットフォーム・医療DXと、メドリングがベトナム・インドネシアで展開する医療DXを融合し、ASEAN No.1の医療DX・医療人材プラットフォームの構築を目指す。