歩行促進事業は道路接続性が高い地域ほど継続しやすい 明治大などが発表
明治大学商学部の阿部巧准教授らの共同研究チームは、ポイントを付与する身体活動促進プログラムにおいて、道路の接続性が高い地域に住む参加者ほどプログラムを継続しやすい傾向があることを明らかにした。本研究成果は国際学術誌「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」に掲載された。最長48ヵ月の追跡期間中に約6割が離脱した一方、継続者の平均歩数は7,000歩/日を超えると推計されている。
研究の背景と課題
歩数に応じてポイント(インセンティブ)を付与するプログラムは多くの自治体で導入されている。一方で、歩きやすい地域に住む人に比べて歩きにくい地域に住む人の歩数が少なく離脱が多くなれば、意図せず身体活動格差を拡大させる可能性がある。
そこで研究チームは、「よこはまウォーキングポイント事業」に参加した40〜74歳の成人30,530名のデータを分析し、近隣環境とプログラム離脱との関連性や継続者の歩数推移を検証した。なお、本研究では歩きやすさの指標として全国郵便番号界ウォーカビリティ指標とその構成項目(人口密度、道路の接続性、施設種類数)を使用し、離脱は歩数のアップロード状況を基に操作的に定義している。
道路接続性とプログラム継続の関連
最長48ヵ月の追跡期間中、約6割の参加者がプログラムから離脱していた。分析の結果、道路の接続性が低い地域に住む者に比べ、道路の接続性が高い地域に住む者ではプログラムからの離脱が少ないことが示された。
この結果から、インセンティブを付与するプログラムでは継続性が課題となる一方、地域環境(歩行環境)に目を向けることで継続参加を促す必要性が高い地域を同定できると考えられている。
プログラム参加から3年間の歩数の推移をみると、1年目から2年目にかけては平均で約500歩/日減少し、2年目から3年目にかけては微増となった。プログラムを継続している者に限ると、平均歩数は7,000歩/日を上回っていると推計された。
調査概要と論文情報
本研究の概要および論文情報は以下の通り。
- 調査期間:2016年4月から2020年3月
- 研究機関:明治大学、東京大学、スウィンバーン工科大学(オーストラリア)の研究チーム
- 調査対象:よこはまウォーキングポイント事業参加者 40~74歳
- 有効回答数(サンプル数):30,530名
- 調査方法(集計方法、算出方法):当該事業参加者の歩数データを収集。Cox比例ハザードモデルにより事業参加の継続状況を、混合効果モデルにより調査期間中の歩数の変化を解析
論文情報:
- 論文名:Does a walking intervention work equally in low and high walkable areas? A large-scale incentive program in Japan.
- 著者:Abe, T., Sugiyama, T., Owen, N., Hino, K.
- 掲載誌:Int J Behav Nutr Phys Act (2026)
- URL:https://doi.org/10.1186/s12966-026-01946-5
- 公開日:2026年7月8日
本記事は明治大学の発表をもとに作成。
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