美容室の倒産急増、コスト高と節約志向で打撃

株式会社帝国データバンクによると、2024年8月までに発生した美容業(美容室)の倒産件数は139件に上り、前年同期比で約1.5倍となった。このペースが続けば、年間倒産件数は過去最多を更新し、200件台に到達する可能性がある。

美容室の倒産急増の背景には、新規開店による店舗間競争の激化に加え、円安や原材料高騰によるシャンプーなどの美容資材価格の上昇、スタイリスト確保難による人件費の増加などのコスト高がある。各美容室では施術費用の値上げを行っているが、8割の店舗で利益が不変または減少しており、値上げに失敗し不安定な経営が続いている。2023年度の美容室の業績では、4割の企業が赤字となった。

また、物価高による家計の節約志向や、女性のヘアスタイルがショートカット系にシフトしたことで、高単価のパーマネントなどの施術メニューが厳しい状況にある。顧客離れを懸念して値上げを見送る美容室も多く、コスト増に耐え切れない美容室の市場退場がさらに進む可能性がある。

美容室業界は、コスト高と消費者の節約志向という二重の打撃を受けており、経営環境は厳しさを増している。今後、業界内の淘汰がさらに加速することが予想される。