ソニー銀行、ステーブルコイン発行への実証実験開始

ソニー銀行は、Polygon LabsとSettleMint NVとの連携を通じて、Polygon PoS上でステーブルコインの発行を目指し、そのための実証実験の検討を開始した。Polygon LabsはMarc Boiron氏がCEOを務める企業で、SettleMint NVはMatthew Van Niekerk氏が創業者兼CEOを務めるベルギーの企業だ。

この実証実験では、ソニー銀行がステーブルコインの発行に向けた法的整理や要件定義を行い、ブロックチェーンにPolygon PoSを採用する。また、ブロックチェーン関連の多様な開発実績を持つSettleMintが実証実験の基盤の開発・構築を担当する。

ステーブルコインとは、2023年6月に施行された改正資金決済法により定義された電子決済手段の一種で、その発行・償還・流通による技術的・法的な課題点を抽出し、その普及やweb3時代における安心安全なクリエイター・ファン層で構成される経済圏での利活用の拡大に向けた検討を続ける。

web3とは、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用して、利用者がデータを共有・管理しながら運用する分散型のwebサービスを指す。その経済圏が世界的に拡大する一方で、利用者保護の観点や、分散性・匿名性の観点からマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与への対策、ステーブルコインに関する法的整理などの課題がある。

この実証実験では、ブロックチェーンの技術を用いたステーブルコインの発行・償還・流通のしくみの構築および検証の実施に加えて、本人確認などの観点でゼロ知識証明という技術を活用することも検討している。ゼロ知識証明とは、ある者が他者に、自らの有している命題が真であることを伝えるために真であること以外にはいかなる知識も伝える必要がない証明手法で、web3時代における匿名の支払い・認証など個人情報の保護の観点や、ブロックチェーンのスケーラビリティの問題の解決などへの活用が期待されている。

ソニー銀行は、web3におけるクリエイター・ファン層で構成される経済圏の拡大に向けて「Sony Bank CONNECT」を今年の夏にリリースする予定で、その中でブロックチェーンを基盤としたウォレット機能のリリースに向けた要件定義や設計を進めている。また、この実証実験の対象とするステーブルコインについても「Sony Bank CONNECT」との連携を見据えて検討を行っている。