AR技術を応用したスポーツの『学校体育実践発表会』

AR技術を活用したスポーツの学校体育実践発表会が、2024年3月3日に東京都の私立巣鴨中学校高等学校で開催された。この発表会は、ICTを活用した革新的な体育を探求するAR体育研究会によって主催され、尚美学園大学の大野好司教授が研究代表を務めた。大野教授は、約1年間にわたり小学校3校、小中一貫校1校、高等学校1校の計5校での実践を通じて、AR技術を活用したスポーツが大きな可能性を秘めていることを確認したと述べた。

発表会では、令和5年度に全国で実践された研究成果が報告され、教員や保護者を対象とした体験授業が行われた。また、関係各所の小学生、中学生、高校生を招待し、模擬体育授業を実施した。これにより、教員たちはARスポーツをカリキュラムレベルで位置づけることが可能であることを示された。

発表内容の一部として、東京学芸大4年の仲村さんが「ARスポーツHADOの体育授業導入に関する検討」について発表した。また、鹿児島大学教育学部附属小学校の三宅倖平先生が、実践によって子どもたちが何を感じ、運営上の課題は何だったのかを具体的な事例を交えて発表した。

東京学芸大学の鈴木直樹准教授は、体育の本質は運動の面白さを享受することにあると述べ、HADOというARスポーツが個々の能力を超えてプレイすることを可能にしていると評価した。一方で、課題も残されており、次年度はHADOの体育教材としての価値に関するエビデンスを明確にする研究を行う予定だと述べた。

HADOは、日本発のテクノスポーツで、既存のフィジカルスポーツと最新のAR技術を組み合わせた新しいスポーツジャンルだ。体力や筋力といった身体能力による差が生まれにくく、老若男女問わず楽しむことができる。3対3で対戦し、頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着して、エナジーボールやシールドのスキルを駆使し、80秒間の試合時間で点数を競う。