上場企業平均年収651万円、過去最高に
株式会社帝国データバンクが実施した2023年度決算期(2023年4月-24年3月期)の全上場約3800社における平均年間給与(平均年収)の調査によると、上場企業社員の平均給与は651万4000円で、過去20年で最高値を更新した。これは前年度の637万3000円から14万1000円(2.2%)増加しており、3年連続で前年を上回った。
2022-23年度の増減を比較すると、前年度から平均年間給与が増加した上場企業は68.7%を占め、約7割の企業で賃上げの動きが広がった。厚生労働省の調査による2023年の平均賃上げ率(3.6%)を上回る上場企業は3割を超えた。輸出企業を中心に円安の追い風を受けて好業績となった企業や、小売・サービス業界で人手不足を背景とした処遇改善目的の賃上げ機運が高まったことなどが要因とみられる。
上場市場別では、東証プライム上場企業の平均年間給与が735万7000円で最も高く、2年連続で700万円を超えた。東証グロースも606万4000円で、旧東証ジャスダック・マザーズ両市場と比較して初めて600万円を超えた。
業種別では、海運業が1008万円で全業界で唯一平均1000万円を超えた。全33業界のうち約8割にあたる27業界で、2003年度以降で最高額を更新した。
ポストコロナに向けて経済活動が本格化するなか、人手不足への対応などを背景に、業績好調な企業・業界を中心に賃上げなどの待遇改善で人材を確保する動きが進んでいる。2024年度は物価高などを理由に給与テーブルの大幅な引き上げや、パート・アルバイトの時給引き上げに動く企業も出ており、待遇改善で人材確保を図る傾向がさらに強まっている。企業業績や収益改善のペースには差異があるものの、33年ぶりの水準に達した春闘を経て、上場企業の24年度平均年間給与は上昇すると予想される。