アーキタイプ、スタートアップ・エコシステム拠点都市第1期の検証レポートを公開
事業開発支援を手がけるアーキタイプ株式会社は、2026年9月15日(火)、業界レポート「スタートアップ・エコシステム拠点都市 第1期5年の検証 — 自治体が動かせるもの、動かせないもの」(Industry Report 2026 Vol.7・全47ページ)を公開しました。内閣府が2020年7月に選定した「スタートアップ・エコシステム拠点都市」第1期(2020〜2025年度)の8都市圏を対象に、公表資料をもとに施策の実態と効果を検証しています。
第1期における目標到達の状況とデータ連携の課題
内閣府の横断比較表(8都市圏・実績は2023年度末時点・目標年は2024年度末)によると、設定された23指標のうち目標到達(達成)は10にとどまりました。マッチング件数や創出社数、ビザ認定数などのプロセスやすそ野の指標が到達した一方、ユニコーン数や評価額、調達額といったバリュエーションに関する指標は未到達となりました。ユニコーン数を目標に置いた6都市圏のうち到達したのは、目標を1社としていた仙台の1都市圏でした。また、公表資料間において18件の数値の不整合が確認され、第1期においては不整合を検出・訂正する制度的な仕組みが存在しなかった点などが指摘されています。
自治体の固有機能としての公共調達と実証の場


レポートでは、行政にしかできない固有の機能として「最初の顧客になること」と「水道・交通・施設などの行政資産を実証の場として開くこと」を挙げています。福岡市の公共調達サポート第1号案件となった衛星画像による水道管の漏水調査(2024年5月)は、全国22市町村での実証を経て2025年に商用サービス「mizuiro」となり、AIによる交通量調査「MATIENCE」(2023年11月)は2026年3月に東京都が政策目的随意契約で調達するなど、初回調達の実績が信用となって他自治体へ展開する事例がみられます。また、実証から調達や継続への転換率について、東京都「UPGRADE with TOKYO」が協働実績率94%、神戸市「Urban Innovation KOBE」が継続率70%、全国版「Urban Innovation JAPAN」が継続率46%と公表されています。
開業率や資金調達額の推移と「高さ」の要因

厚生労働省「雇用保険事業年報」から同社が算出した47都道府県の開業率(近似値)において、政策前(FY2015〜19平均)と政策後(FY2021〜24平均・FY2020は除外)を比較したところ、上昇した県はありませんでした。第1期の拠点県13県の低下幅(群の単純平均−1.20ポイント)は非拠点34県(同−0.84ポイント)より大きいものの、政策前の水準と変化幅の相関は−0.878であり、変化の要因は政策の有無ではなく都市のストックであると分析されています。また、全国の資金調達額が2022年の9,909億円から2025年の7,613億円へ減少するなか、大型調達やユニコーンといった指標は少数の個社の成否に左右される傾向が示されています。
レポートには、民間実務家向けに自治体との連携における「固有機能×リターン対応表」が収録されているほか、自治体や外郭団体の担当者向けに大企業のイノベーション組織の設計知を行政向けに翻訳した7つの提言が記載されています。同社代表取締役の菅野龍彦氏は、施策のなかで行政ならではの機能が動き始めている点に触れ、民間が自治体と組む際に期待すべき領域について言及しています。
- タイトル: スタートアップ・エコシステム拠点都市 第1期5年の検証 — 自治体が動かせるもの、動かせないもの(Industry Report 2026 Vol.7)
- 対象: 内閣府「スタートアップ・エコシステム拠点都市」第1期(2020〜2025年度)8都市圏。第2期13拠点の拠点形成計画、47都道府県の開業率(雇用保険事業年報より当社算出)、海外公的機関5主体の年次報告を併用
- 確認時点: 2026年8月
- データ出所: 内閣府・総務省・厚生労働省・経済産業省・中小企業庁・各自治体の公表資料、海外公的機関の年次報告(一次確認)
- 想定読者: 自治体から実証や共創の打診を受けている大企業の事業開発責任者・オープンイノベーション部門・共創拠点の運営者。あわせて自治体・外郭団体の担当者(第8章)、スタートアップ(第7章)
- 本文: 全47ページ
本記事はアーキタイプ株式会社の発表をもとに作成されています。
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