スマートグラスで訪問看護を支援、TOPPANとセントケアが実証実験

TOPPANデジタルとセントケア・Replusは、2024年4月末から5月末にかけて、スマートグラスを活用した訪問看護支援の実証実験を実施した。この実証実験では、TOPPANデジタルが提供する遠隔作業支援サービス「RemoPick®」を使用し、訪問看護を行う看護師がスマートグラスを装着することで、クリニックの医師と患者の様子をリアルタイムで共有しながら診察や処置を行うことができた。

医師は、看護師が装着したスマートグラスから送られる映像を基に、ポインター機能を使って明確な指示を出すことができ、看護師は両手が自由に使えるため、医師の指示を聞きながら同時に患者への処置を行うことが可能となった。この実証実験を通して、的確な診療と看護師の心理的負担の軽減が実現でき、訪問看護支援における「RemoPick®」の有用性が確認された。

日本では超高齢社会を迎え、在宅医療を必要とする人が年々増加しており、訪問看護のニーズも高まっている。しかし、訪問看護師は電話での医師とのコミュニケーションにおいて、患者の状態を医師が直接見ていないことによる心理的な不安を抱えているという課題があった。

TOPPANデジタルは、2022年より遠隔コミュニケーションサービス「RemoPick®」を提供しており、今回、訪問看護事業における先端技術活用を積極的に進めるセントケア・Replusと共同で、この実証実験を実施した。

実証実験の結果、看護師からは現場の状態を的確に医師に伝えられたことや、患者の安心感につながったことが評価された一方、スマートグラスのボタン操作の煩雑さや映像配信開始までのプロセス短縮の必要性が指摘された。医師からは、画像の色味や解像度の高さ、ポインター機能による的確な指示、視覚情報による正確な状態把握が可能になったことが評価された。

TOPPANデジタルは、この実証実験を通じた効果検証とサービス改良を進め、2025年4月より「RemoPick®」の医療向けサービス展開の提供開始を目指している。セントケア・Replusは、提携医療機関を拡充させ、医師とのリアルタイム連携による質の高い訪問看護の提供を目指す方針だ。