デジタルカレッジKAGAは、ドローンや生成AIなどの最新技術を駆使し、温泉施設のデジタルアーカイブ化サービスの提供を開始した。このサービスでは、高額な機材を使わずに現場で手軽に実施できる作業で、迅速かつ精密に温泉施設のデジタルアーカイブを作成し、温泉の魅力をデジタル化することが可能だ。

モデルケースとして、建築家の内藤廣氏がデザインした加賀温泉郷山代古総湯を対象に「古総湯プロジェクト」を実施。ドローンの自動航行による撮影と、スマートフォンなどの汎用機器を用いた外部構造データの収集を行い、生成AIを活用してデータの欠損を補完することで、高精度な建物の三次元モデルを迅速に作成した。施設内部についても、全天球カメラやスマートフォンを活用したウォークスルーやフォトグラメトリを実施している。

ドローンによる上空からの撮影は、オープンソースの自動化が可能なエンルート製のZion QC730を使用し、ArduPilot Mission Plannerによる自動化プログラムで完全自動ミッションでの撮影を実現。実際の飛行時間はわずか約5分だった。

施設内のデジタルアーカイブ作成では、DJI製のAVATAシリーズや4Kカメラを搭載したマイクロドローン、屋内用スマートフォン搭載ドローン、ローバー型移動体などを使用。加賀市内外の運用パートナーと連携し、温泉施設の業務の合間に迅速に撮影を行う。

ドローンで撮影できない場所については、スマートフォンなどの汎用機器と生成AIを活用して自由視点の画像生成を行い、データを補完。古総湯プロジェクトでは、補完データの撮影にかかる時間は30分以内で、施設の休息時間内に迅速に作業を完了できた。

また、施設内の撮影時には全天球カメラ（Insta360 X3）を利用し、ウォークスルーツールとしての活用だけでなく、フォトグラメトリ技術を用いて解析することで、内外のデータの精度向上を図っている。

三次元に点群モデル化されたデータは、メタバースへの展開も可能。衛星から取得された各種データや、国土交通省のPlateauに集約された都市の三次元データと組み合わせることで、住民を巻き込んだ都市計画のシミュレーションや、経年による施設内外の環境比較に活用される。

デジタルカレッジKAGAは、最先端技術を駆使してインフラ構造物のデータ化や歴史的建築物のデジタルアーカイブ化に取り組み、持続可能なインフラの構築を目指している。