古野電気と新来島サノヤス造船、実船スケールのタンカー旋回運動CFD再現に成功
古野電気株式会社は、株式会社新来島サノヤス造船と共同で、実船スケールにおけるタンカーの左右旋回運動をCFD(計算流体力学)によって高精度に再現し、実船計測データとの比較検証を通じて解析結果の妥当性を確認しました。実際の商船の左右両舷の旋回試験を対象に実船スケールで直接CFD解析を実施し、実船計測データとの比較により予測精度を検証する先駆的な取り組みです。本研究成果は、「日本船舶海洋工学会 秋季講演会2025」および国際会議「Symposium on Naval Hydrodynamics(SNH)2026」にて発表されました。
研究の背景とシミュレーションの目的
海運における衝突・座礁リスクの低減や安定した運航、省エネルギー化の実現に向けて、船舶の操縦性能を高精度に予測する技術の重要性が高まっています。従来の実船試験や模型船試験は、大規模な設備や人員を要するほか、天候や海象などの外的条件に影響されやすく、試験コストが高いといった課題を抱えていました。
こうした背景から、古野電気株式会社はCFDを活用し、実船スケールの流体現象と船体運動を数値的に再現する技術開発を進めています。今回の共同研究では、株式会社新来島サノヤス造船の船型「Sanoyas Tanker」を対象に、実船スケールにおける左右両舷の旋回運動をCFDで解析し、予測精度の検証を行いました。
実船計測との比較で高い予測精度を確認
解析にはソフトウェア「FINE/MARINE 2025.1」を使用し、船体の6自由度運動、自由表面、プロペラの推力などを考慮したシミュレーションを実施しました。実船相当の船体および舵の表面粗さを考慮して解析を行った結果、船舶が旋回を始めるまでの前進距離と旋回圏は実船計測値と良好に一致しました。


特に旋回圏については、右舷旋回で誤差1%未満、左舷旋回でも5%未満となり、実船の旋回挙動を実用的な精度で予測できることが確認されています。
今後の展望と学会発表
本成果により、実船スケールを直接CFD解析することで操縦性能を高精度に予測できることが示され、船舶の安全運航支援や性能評価への活用が期待されています。古野電気株式会社 技術研究所のMd. Alfaz Hossain氏は、実船計測データを用いた検証によって実用的な精度を確認できたことや今後の課題を明確化できた点を挙げ、「今後も予測精度の向上に取り組み、船舶の安全運航と省エネルギー化に貢献してまいります」としています。


本研究に関する学会発表の詳細は以下の通りです。
- 日本船舶海洋工学会 秋季講演会2025:「CFDを用いた実スケール船の操縦運動シミュレーション法の検討」(発表者:古野電気株式会社 技術研究所 第1研究部 知能制御研究室 Md. Alfaz Hossain、畠中 浩行、木村 考伸/株式会社新来島サノヤス造船 基本設計部 新井 大介、田島 圭祐、古池 健太)
- SNH 2026:「CFD Prediction of Model-Scale Hydrodynamic Coefficients and Full-Scale Turning Circle of a Tanker and Comparison with Experimental and Sea Trial Data」

古野電気株式会社の概要
兵庫県西宮市に本社を置く古野電気株式会社(代表者:古野 幸男)は、1948年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功した舶用電子機器総合メーカーです。
- 設立:1951年 (昭和26年)
- 資本金:7,534 百万円
- 売上高(連結):140,616 百万円
- 従業員(連結):3,411 名
- 上場取引所:東京証券取引所 プライム市場
- 事業:船舶用電子機器および産業用電子機器等の製造・販売
本記事は古野電気株式会社の発表をもとに作成しました。

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