日水コンとCSJ、地中深部の圧力変化から検知する道路陥没予兆検知システムを共同開発
株式会社日水コンとキャンベル・サイエンティフィック・ジャパン株式会社(以下「CSJ」)は、下水道管渠に起因し、道路陥没につながる恐れのある空洞の発生・成長をセンサーのデータから検知する「道路陥没予兆検知システム」を共同開発した。あわせて、本システムに関する「道路陥没予兆検出システムおよびその製造方法」について、両社共同で特許を出願した(特願2026-039634)。地中深部に設置した圧力センサーで土圧や間隙水圧の変化を計測し、道路陥没に至る前段階での空洞検知を目指す。
開発の背景と両社の役割
2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を契機に、下水道管渠に起因する道路陥没事故の防止が重要な課題となっている。事故後に国土交通省主導で実施された全国特別重点調査では、「緊急度Ⅰ(1年以内に対策が必要)」や「緊急度Ⅱ(5年以内に対策が必要)」の箇所が数多く確認された。管渠の改修には調査・設計や予算措置、発注手続きなどの期間を要することから、「緊急度Ⅰ」の箇所でも国が求める対応が困難な場合があり、改修完了までの暫定的な安全確保が求められている。
今回の開発において、株式会社日水コンは道路陥没メカニズムに基づく計測箇所の設定、センサーの設置・施工方法の検討、土層実験、クラウド側の監視システムの構築を担当した。一方、CSJはバイブレーティングワイヤー方式センサーと独自の信号変換技術を用いた変換器の提供、計測・通信システムの構築、現場側データ収集・通信装置の開発を担っている。
地中深部の圧力変化を捉える空洞検知の仕組み
本システムは、レーダー波の届かない地中深部にある下水道管渠に対し、管渠近傍の地中に設置した圧力センサーで土圧・間隙水圧の変化を計測する仕組みとなっている。管渠の局所的な損傷が判明している箇所において、管渠の上方1~2m程度離れた位置にセンサーを設置し、管渠への土砂流入に伴って拡大しながら上方へ移動する空洞がセンサー位置に到達した際の圧力変化を検知する。
なお、本システムにおける「予兆検知」とは、道路表面の陥没が発生する前に、管渠周辺で発生・成長する空洞がセンサー位置に到達したことを検知することを指す。「八潮市で発生した道路陥没事故に関する原因究明委員会報告書」(2026年2月19日 八潮市で発生した道路陥没事故に関する原因究明委員会)では、空洞の発生から地表面の陥没までに年単位の期間を要した可能性が示されている。
本システムには主に以下の特長がある。

- 地中深部の土圧・間隙水圧を計測:管渠近傍のボーリング孔に圧力センサーを埋設し、地表面からの調査が困難な深部でも空洞到達時の圧力変化を捉える。
- 長距離ケーブルを用いた計測:弦の張力変化による振動周波数変化を計測しノイズの影響を受けにくい「バイブレーティングワイヤー(Vibrating Wire:振動弦)方式」の圧力センサーを採用することで、センサー検出部と変換器間が長距離でも計測を可能とする。
- LTE通信・独立電源による遠隔監視:太陽光発電と蓄電池を組み合わせた独立電源で稼働し、計測データはLTE通信でクラウドへ無線送信され、予兆検知アラートや計測値トレンド、機器の死活監視を遠隔管理できる。
本システムは管渠改修までの期間における補完的な監視を目的とするものであり、道路陥没の発生を確定的に予測・防止するものではない。計測結果を踏まえた点検や通行規制などの対応は、道路管理者および下水道管理者が現地状況等を踏まえて判断する。なお、国立研究開発法人土木研究所内での実験土層を用いた実験において、空洞の成長に伴う圧力変化をセンサーで計測できることが確認されている。

今後の展開
今後は、実験土層で得られた成果を踏まえ、実際の道路における実証を通じて地下水変動や地震発生時におけるセンサーの挙動等を確認する予定である。また、空洞調査における貫入試験を活用するなど、施工コストの更なる低減につながる施工方法の検証を進めていくとしている。
企業概要
- 社名:株式会社日水コン(東京証券取引所 スタンダード市場 証券コード261A)
- 本社:〒163-1122 東京都新宿区西新宿六丁目22番1号(新宿スクエアタワー)
- 代表者:代表取締役社長 中西 新二
- 設立年月日:1959年5月25日
- 資本金:193,765,000円
- 事業内容:水道・下水道・河川を中心とした水関連事業を展開する建設コンサルタント
本記事は株式会社日水コンの発表をもとに作成されています。
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