企業間決済のキャッシュレス化が加速

アメリカン・エキスプレスが、企業間取引におけるキャッシュレス化の課題と現状を明らかにすることを目的とした「企業間決済(B2B)のキャッシュレス化」に関する最新の調査結果を発表した。本調査は飲食・卸業や農業・畜産、建築・建設、医療関連業といった幅広い業界から約1,000名を対象に実施された。

調査結果によると、企業間取引における主な決済方法では、支払い側でのクレジットカード利用が請求側の約2倍となり、支払い利用が先行して浸透していることが明らかになった。一方で、企業間決済で感じる課題として、請求時は「支払いサイクルや管理」(22.0%)、支払い時は「取引先ごとのプロセスに対応」(26.2%)といった取引先に合わせた管理業務が負担になっていることがわかった。

キャッシュレス決済導入の動機としては、インボイス制度(21.1%)や電子帳簿保存法の改定(11.7%)といった制度の改革が変化を後押ししており、支払う側では現在導入中および3年以内に導入検討を含めると52.2%と半数を超える結果となった。また、クレジットカード決済の利用意向として、企業間決済において利用を希望する声は6割以上に上った。

企業の法人カード利用においては、過去1年間で成長を実感している企業の約半数が活用しており、最も大きなメリットは業務の効率化(36.2%)であることが明らかになった。

アメリカン・エキスプレスでは、仕入れ決済などの企業間取引で利用可能な加盟店の拡大を通じて、売掛金回収リスクの軽減やキャッシュフローの安定化、新規顧客の獲得といった加盟店ビジネスの成長もサポートしている。

国内キャッシュレス決済比率は、主に個人消費者がけん引し、2023年には過去最高となる39.3%を達成。一方で、企業間決済においては780兆円の市場規模を有しているにもかかわらず、キャッシュレス取引額は約5兆円程度にとどまっている。経済産業省は、「支払を意識しない決済が広がり、データがシームレスに連携される デジタル社会の実現」を掲げ、データ連携をスムーズに進める手段のひとつとして法人カードの利用に期待を寄せている。