浮体式洋上風力の実証へ NEDOが新規事業

NEDOは、グリーンイノベーション基金事業の一環として、浮体式洋上風力発電のコスト低減と導入拡大を目指す「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトを進めている。このプロジェクトの研究開発項目の一つである「浮体式洋上風力実証事業」について、2件の研究テーマが採択された。

本プロジェクトでは、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けたコスト低減を図るため、フェーズ1で実施した要素技術の開発成果を取り入れつつ、フェーズ2として、1基10MW以上の大型風車を用いた実海域における浮体式洋上風力発電実証事業を実施する。グローバル市場を見据え、コスト目標やタクトタイム目標などを設定し、日本の産業競争力強化に資することを目指している。

NEDOは、このプロジェクトを通じて、浮体式洋上風力発電の早期社会実装を図るとともに、日本の洋上風力産業の競争力強化を目指している。

グリーンイノベーション基金事業は、日本政府が2020年10月に宣言した「2050年カーボンニュートラル」の目標実現に向けて、経済産業省がNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援する事業である。令和4年度第2次補正予算により3000億円、令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされている。

本プロジェクトの背景には、「洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ」に基づくサプライチェーン8分野のうち、「風車」、「浮体式基礎製造」、「浮体式設置」、「電気システム」、「運転保守」を重点化し、まずはフェーズ1として要素技術の開発を進めてきたことがある。

今回のフェーズ2では、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けコスト低減を図るため、フェーズ1での成果も踏まえ、企業から目標へのコミットメントを得たうえで、10MW以上の大型風車を用いた実海域での実証事業を実施し、早期のコスト低減を実現することで、浮体式洋上風力の早期社会実装と日本の洋上風力産業の競争力強化を目指す。

本プロジェクトの予算は約850億円(NEDO支援規模)で、期間は2024年度から2030年度までを予定している。採択テーマと実施予定先は、NEDOのホームページで公開されている。