半導体基板に世界最小の穴あけ加工を実現、次世代チップレットの高機能化に期待

東京大学、味の素ファインテクノ株式会社、三菱電機株式会社、スペクトロニクス株式会社の4法人は、次世代半導体製造の後工程に必要なパッケージ基板への3マイクロメートルの極微細レーザー穴あけ加工技術を開発した。既存技術より一桁小さい穴あけ加工技術を確立することで、より高密度な基板間配線が実現し、今後の生成AI等に必要なハイパフォーマンスコンピュータやデータセンター用のチップレットの発展に役立つことが期待される。

本成果は、東京大学が運用している「TACMIコンソーシアム」において、企業と大学が業種を越えて連携したことにより実現した。TACMIコンソーシアムとは、東京大学が2017年10月30日に設立した、産学官連携による光ものづくり協創を推進するための企業間マッチングのプラットフォームである。

近年、EUV露光技術の発展により半導体チップの微細化が進み、チップの電極間隔も小さくなってきている。それに伴い、チップを受ける側のパッケージ基板の配線も微細化が進んでいる。現在は40マイクロメートル程度の穴をレーザーであけて金属メッキを施すことで層間配線を行っているが、チップの微細化に伴い将来パッケージ基板の穴径において5マイクロメートル以下の微細化が必要とされている。

今回の研究開発では、レーザー開発、加工機開発、材料開発およびパラメータ探索を得意とする4法人が技術を持ち寄ることにより、半導体向けの層間絶縁体として極めて高いシェアを占める味の素ビルドアップフィルムⓇ(ABF)に3マイクロメートルという超微細穴あけ加工を実現した。

本成果は、半導体業界における後工程ロードマップにおいて重要なマイルストーンとなるもので、レーザー加工機で次世代の微細穴あけ加工が可能であることを示したことで、半導体のさらなる微細化において、低コストで自由度の高い基板加工が可能であることが分かった。今後さらなる微細化に取り組むとともに、複雑化するチップレットの製造工程における技術課題について、レーザー加工で対応可能な範囲を拡大するための研究・技術開発を進めていく方針だ。