シヤチハタなど3社、次世代の本人証明サービスを2026年9月より提供開始へ
シヤチハタは、AnchorZおよびDigital Platformerと協業し、2026年9月より次世代の本人証明サービスを提供開始します。本サービスは、本人の資格や権限を示すデジタル証明をスマートフォンに保持し、現場で提示・検証できる仕組みです。これに合わせて、業務現場での実証実験に協力する企業や団体の募集を開始しました。
開発の背景と解決を目指す課題
企業や施設における従来の本人確認では、ICカードの貸し借りや紛失、退職者カードの失効漏れといった不正利用のリスクや、物理カードの管理に伴う運用負担が課題となっていました。また、一般的な顔認証システムでは、施設側が生体データをデータベースで保管・管理する必要があり、情報漏えいリスクや管理責任の負担が生じるというジレンマがありました。
近年は国際標準規格であるDID/VC(分散型識別子/検証可能な資格情報)の実用化が進んでいるものの、提示者が証明の持ち主本人であるかを確認する手法の確立が求められていました。本サービスは、証明書の真正性と所持者の本人性を同時に担保するインフラとして開発されました。
本人証明サービスの仕組みと特長
本サービスは、企業や団体による「発行」、本人のスマートフォンでの「保持」、現場での「検証」、監査可能な「証跡」保存という4つの機能を一体で提供します。
- 発行:企業・団体が在籍・資格・権限などのデジタル証明を発行
- 保持:本人がスマートフォン上で証明を保有し、必要な属性を選んで提示
- 検証:施設やサービスがその場で本人性と証明の有効性を確認
- 証跡:誰が、いつ、何を検証したかを署名付きで記録
証明基盤にはDID/VCを採用し、検証時にはAnchorZの「バックグラウンド認証」技術を活用します。顔情報や行動特性、端末情報などを組み合わせて本人の利用を確認する仕組みです。顔の特徴量は利用者の端末内に留め、施設側サーバーには集約しない設計とすることで、導入施設が生体情報を保管する負担や漏えいリスクを回避できるようにしています。
最初の適用領域と提供形態
提供開始時は、オフィスや工場、商業施設などにおけるデジタル社員証や入館証としての利用を中心とします。入退室のたびに「証明が有効か」「提示しているのが本人か」の2点を同時に判定し、他人の端末による不正な提示を防ぎます。なお、入退室時の確認は通行する時点での判定であり、入館後の館内を継続的に監視するものではありません。
利用者はスマートフォンの画面提示による通行のほか、端末を取り出さない手ぶらでの顔認証通行にも対応します。
本サービスは、管理画面やスマートフォン向け「本人証明アプリ」、受付・ゲート用検証端末を一式で提供するほか、既存アプリやシステムに組み込めるSDK(ソフトウェア開発キット)としても提供されます。
各社の役割と今後の展開
本事業における3社の役割分担は以下の通りです。
- シヤチハタ:統合基盤および検証端末の企画・開発、営業、導入支援、サポート、法務・監査、証跡・課金管理
- AnchorZ:バックグラウンド認証エンジンの研究開発・高度化、本人性確認に関する技術統合
- Digital Platformer:DID/VC基盤の提供と相互運用性の確保
実証実験を経て、今後はデータセンターや建設現場、イベント入場、行政・金融分野などへの段階的な展開を計画しています。なお、本サービスは電子署名法第3条に基づく法的効果を主張するものではなく、犯罪収益移転防止法などの法令上の本人確認義務を代替するものではありません。
シヤチハタの舟橋正剛代表取締役社長は、利用側と管理側の双方に負担をかけない本人確認の環境を実証を重ねながら構築していく方針を示しています。また、AnchorZの徳山真旭代表取締役CEOは継続的な本人確認技術の現場実装への期待を述べ、Digital Platformerの松田一敬代表取締役CEOは安心安全に使える本人証明基盤の発展を目指すとしています。
参画企業の概要
シヤチハタ株式会社
- 所在地:愛知県名古屋市西区天塚町4丁目69
- 代表者:代表取締役社長 舟橋 正剛
- 創業:1925年1月
- 事業内容:文具印章関連事業、IT関連事業、新規関連事業
株式会社AnchorZ
- 所在地:東京都台東区浅草橋3-22-9 第一野村ビル2階
- 代表者:代表取締役CEO 徳山 真旭
- 設立:2009年4月1日
- 事業内容:認証技術およびソフトウェア製品の研究・開発・提供
Digital Platformer株式会社
- 所在地:東京都千代田区麹町5-3-23 日テレ四谷ビル5F
- 代表者:代表取締役CEO 松田 一敬
- 設立:2020年4月24日
- 事業内容:ブロックチェーン技術を活用した分散型ID(DID/VC)サービス、トークン化預金発行インフラの開発・提供
本記事はシヤチハタ株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



