生ごみ由来メタン製造の実証へ、「舞洲工場 メタネーション実証設備」

大阪ガス株式会社は、大阪市や大阪広域環境施設組合の協力のもと、2022年4月より再生可能エネルギー由来の水素と生ごみを発酵させて製造したバイオガスとをメタネーションし、製造されたメタンを配管で輸送し、都市ガス消費機器で利用するというサプライチェーン構築を目指す実証事業を実施している。2023年5月22日、大阪市此花区にある舞洲工場の敷地内にて、メタネーション実証設備の竣工式が執り行われた。

本事業は、再生可能エネルギー由来水素と地域の未利用バイオマスを活用して製造したe-methane(e-メタン)によりCO2排出量の低減を図り、エネルギーの地産地消型モデル構築を目指すものだ。舞洲工場での実証実験では、都市部の生ごみ1トン/日から得られるバイオガスと再生可能エネルギー由来の水素から、5 Nm3/hの規模のe-メタンの製造できることを確認し、バイオガスの更なる有効活用を目指す。

2024年7月頃まで舞洲工場内で実証を行った後、メタネーション実証設備は大阪・関西万博の会場内に移設され、2025年4月から実証が行われる予定だ。万博開催時には再生可能エネルギー由来の水素と会場内で発生する生ごみ由来のバイオガスからメタンを製造し、会場内の熱供給設備やガス厨房で利用される。さらに、大阪・関西万博期間中は、大気中のCO2をメタネーションの原料として用いることで、メタンの製造量を増加させることも検討されている。

大阪ガス 常務執行役員 ガス製造・エンジニアリング事業部長の後藤暢茂氏は、万博会場では会場で発生する生ごみやCO2を活用し、家庭170戸分のガスエネルギー製造を実現し、大阪・関西万博のカーボンニュートラル化に寄与し、カーボンニュートラル化社会の早期実現を目指すと述べた。また、環境省 地球環境局 地球温暖化対策課長の吉野議章氏は、舞洲プラントでの実証設備が「地産地消型」のモデルとなり、大阪・関西万博での活用はこのモデルを世界に向けて発信することにつながり、ネットゼロの実現に向けた大きな推進力となると語った。

大阪ガスは、2050年の脱炭素化実現に向けて、他社と協業しながら技術開発に挑んでいる。CO2をリサイクルし、「e-メタン」として生まれ変わったクリーンなエネルギーを一般家庭に供給する未来を実現する「メタネーション」を確立させ、地球と人にやさしい生活インフラの提供を目指している。