NanoFrontier、台湾Garage+のプログラムに採択 PFAS試薬実証へ
東北大学発のディープテックスタートアップであるNanoFrontier株式会社は、台湾のアクセラレーターGarage+が実施する「Grow Up with TAIWAN Program 2026」に採択された。代表取締役の井上 誠也氏が2026年12月6日(日)から12日(土)に台湾・台北で開催されるプログラムに参加する。現地では半導体やAIサーバー関連企業との個別ミーティングを通じ、PFAS(有機フッ素化合物)迅速検出試薬の実証および協業に向けた検討を進める。
採択の背景とGarage+の概要
Garage+は、台湾の大手企業20社によって1991年に設立された時代基金会(Epoch Foundation)が運営するアクセラレーターである。世界各国のスタートアップを台湾に招き、台湾企業の意思決定者との1対1のミーティングや招待制の展示会「Open House」を通じて、事業提携や技術実証、投資につなげることを目的としている。採択企業には渡航支援が提供され、株式等の対価は求められない。
NanoFrontier株式会社は、台湾の半導体・AIサーバー産業が直面する課題に対し、独自のナノ粒子生成技術を基盤とした材料で応える提案を行い、今回の採択に至った。
台湾の半導体産業が直面するPFAS規制の課題
PFASは半導体のフォトレジストやエッチング液、洗浄薬液など多くの工程で使用されているが、環境中で分解されにくく健康影響が懸念されている。台湾環境部によると、台湾では飲用水のPFAS基準設定や、サイエンスパーク内の半導体工場を対象とした排水中PFASの定期検査義務化など、規制が段階的に強化されている。さらに、大手半導体メーカーが取引先へPFAS不使用の材料申告を求める動きも始まっており、サプライチェーン全体で頻繁な確認が求められている。
標準的な分析手法であるLC-MS/MS(液体クロマトグラフ質量分析)は高額な装置や熟練技術者が必要で、サンプルの前処理や外部分析機関への委託を含めると結果判明までに日数を要する。そのため、工程変更や設備不調による一時的な濃度上昇を捉えるための、現場で繰り返し確認できる一次スクリーニング手段が課題となっていた。
迅速検出試薬の実証とAIサーバー向け冷却液の提案
NanoFrontier株式会社は、化合物をナノサイズ化して新たな機能を引き出す技術をもとに、以下の提案を行う。
- PFAS迅速検出試薬および測定サービス:ナノ色素を水中に分散させ、低濃度のPFASをその場で検出する試薬。特別な分析装置を必要とせず、工場の排水や工程水、受け入れ材料のスクリーニング向けに現場導入しやすい点が特長である。LC-MS/MSによる確定分析を補完する一次スクリーニングとして位置づけられる。現在は水サンプルを預かって測定するサービスを提供しており、今後は試薬の販売へ移行する計画である。台湾では、半導体工場のEHS(環境・安全衛生)部門、化学材料サプライヤー、サイエンスパークの排水処理事業者、水道・再生水事業者との技術検証(PoC)を目指す。
- データセンター向け冷却液の協業相談:AIサーバーの液冷化が進む台湾のサーバーODMや冷却モジュールメーカーに対し、ナノ粒子分散により冷却性能を向上させたデータセンター向け冷却液の協業(サンプル評価、共同実証、共同開発、販売代理店契約など)を相談する。
同社代表取締役の井上 誠也氏は、「本プログラムを通じて台湾の企業の皆さまと実証・協業を進め、台湾の半導体サプライチェーンに現場でのPFASスクリーニングを根付かせてまいります」とコメントしている。
今後の展開と会社概要
PFAS検出試薬は現在、有償の技術検証段階にあり、小規模製造への移行が進められている。同社はプログラムを起点に台湾企業との技術検証を進め、現場でのスクリーニング実装事例を積み上げるとともに、製造条件の確立と安定供給体制の構築を進めるとしている。
- 会社名:NanoFrontier株式会社
- 代表者:代表取締役 井上 誠也
- 所在地:宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学産学連携先端材料研究開発センター215号室
- 設立:2025年4月7日
- 公式サイト:https://nanofrontier.jp
本記事はNanoFrontier株式会社の発表をもとに作成されています。台湾の規制動向に関する記述は台湾環境部の公表情報に基づいています。
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