蓮實重彦の小説 伯爵夫人 続篇の 二朗物語 が11月26日発売へ
元東京大学総長で批評家の蓮實重彦による長篇小説『二朗物語』が、2026年11月26日(木)に発売される。本作は、三島由紀夫賞を受賞した『伯爵夫人』の続篇にあたり、作者にとって10年ぶりの小説となる。戦中からGHQ占領下の東京を舞台に、主人公・二朗の苛烈で奔放な性の冒険と戦中・戦後を描く。


前作『伯爵夫人』は、日米戦争前夜における謎めいた女性と旧制高校生の性的交渉を描き、三島由紀夫賞を受賞した。授賞式後の会見では、心境を問われた蓮實が「わたくしは『心境』などというものはないと思っております」「まったく喜んではおりません。はた迷惑な話だと思っております」と述べ、記者の問いかけにも「馬鹿な質問はやめていただけますか」とたしなめるなどして話題を呼んだ。
今作『二朗物語』では、前作で童貞のままに終わった二朗が童貞を喪い、大日本帝国が戦争に敗れて滅びた後のGHQ占領下東京での物語が描かれる。
戦中から占領下を描く全3章の構成
本作は全3章で構成されている。
第1章「午後の朝鮮薊」では、真珠湾攻撃前日の物語である『伯爵夫人』で学習院高生だった二朗が帝大に入学後、召集されて陸軍士官となった昭和20年春が舞台となる。日本の敗色が濃厚となる中、広島からジャワに飛んで接収した米国製映画を分析するよう命令が下る。
第2章「アニー・パイルと「イサイ フミ」」では、空襲の標的となった広島に入れなかった二朗が、駅で出迎えた黒衣の女と尾道の宿に入り、悦楽の阿鼻叫喚の中で童貞を喪う。女は米国のスパイとみられ、戦後に進駐軍相手の劇場で再会を果たす。
第3章「ポンテコルヴォ、または「純白の夜」いかがわしくも色づきて」では、大学に戻り自宅で病に臥せっていた二朗のもとに従姉が訪れる。祖父が隠していたフランス製の拳銃を進駐軍の手前で始末しなければならないと告げられ、病み上がりの二朗は再び性的な活劇を繰り広げることになる。
90歳を迎えた著者の精力的な活動
著者の蓮實重彦は1936年東京生まれ。東京大学元総長を務めた文芸批評・映画批評の泰斗であり、90歳を迎えた今夏には主著『「ボヴァリー夫人」論』の加筆文庫化や『大江健三郎論』増補改訂版が刊行された。映画分野では黒沢清世代だけでなく濱口竜介や三宅唱の世代にも影響を与え続けており、関連トークイベントは満席が続いている。2026年11月に東京大学大江健三郎文庫で行われる予定の講演も予約が満杯になったとしている。
書籍データ
- タイトル:二朗物語
- 著者名:蓮實重彦
- 発売日:2026年11月26日(木)
- 造本:四六判
- 本体定価:2,420円(税込)
- ISBN:978-4-10-304354-6
- URL:https://www.shinchosha.co.jp/book/304354/
本記事は新潮社の発表をもとに作成。
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