カスハラ被害経験企業は15.3% 対応策の実施や予定は約7割 帝国データバンク調査
株式会社帝国データバンクは、全国2万2,095社を対象に実施したカスタマーハラスメント(カスハラ)に関する企業の実態アンケート調査結果を公表した。直近1年以内にカスハラや不当な要求などを受けたことが「ある」企業は15.3%となり、業界別では小売が3割を超えて最も高かった。対応策を実施または予定している企業は68.9%にのぼる一方、特に取り組んでいない企業も約3割存在している。
被害経験企業は15.3% 認知拡大による抑制の兆しも
直近1年以内に自社もしくは自社の従業員がカスハラや不当な要求などを受けたことがあるか尋ねたところ、「ある」と回答した企業は15.3%となった。前回調査(2024年6月調査、15.7%)から0.4ポイント減となり、大きな変化はみられなかった。
一方で、「ない」と回答した企業は同1.8ポイント増の67.2%と前回調査から上昇した。企業からはカスハラやコンプライアンスの周知によって問題行為が減ったという声が寄せられており、概念の浸透が抑制につながりつつある可能性がうかがえる。また、「分からない」は同1.3ポイント減の17.5%となった。社会的な認知度向上により言動の認識が進む一方で、正当なクレームとカスハラとの線引きに苦慮する声もあがっている。
BtoC業界で被害が目立つ 取引先からのハラスメントを指摘する声も

カスハラなどを直近1年以内に受けた企業の割合を規模別にみると、「大企業」が23.9%、「中小企業」が13.8%、うち「小規模企業」が12.3%となり、規模が大きいほど高かった。大企業では顧客接点の多さに加え、窓口や報告体制により事案が集約・把握されやすいことも一因と考えられる。
業界別では、店頭で一般消費者と接する『小売』(31.1%)が最も高く、次いで『金融』(26.8%)、『不動産』(21.4%)、『サービス』(20.3%)と続き、BtoC型の業界で比較的高い傾向がみられた。これに対し、BtoB型の『製造』(7.6%)や『卸売』(12.6%)などは全体を下回った。ただし、BtoB型の企業からは、取引関係を背景にした元請け企業や取引先からのハラスメントについて対応の難しさを指摘する意見がみられた。
対応策は約7割が実施・予定 中小企業の体制整備に課題

2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法によりカスハラの防止措置を講じることがすべての事業主に義務付けられた。カスハラや不当な要求に対する対応策への取り組み(予定を含む)について尋ねたところ、何らかの「取り組みあり」とする企業は68.9%となった。一方、「特に取り組んでいない」企業は29.7%となった。
具体的な取り組み内容では、「従業員への企業方針・対応ルールの周知」(37.8%)が最も高く、次いで「カスハラを容認しない企業方針の策定」(28.6%)、「相談・通報窓口の設置」(27.2%)、「相談者の秘密保持・不利益防止」と「事実関係の確認体制・手順の整備」(ともに18.0%)と、義務化に関連する基本的な対応が上位を占めた。
一方で、「再発防止策の実施」(8.1%)や「顧客・取引先への方針の周知」(6.8%)、「カスハラ対応部署・担当者の設置」(6.5%)など実効性を高める取り組みはいずれも1割未満にとどまった。規模別では、「大企業」の「取り組みあり」が82.6%に対し、「中小企業」は66.5%と16.1ポイント下回った。特に「相談・通報窓口の設置」は大企業が51.7%、中小企業が23.0%と差がみられ、人員や費用などのリソース不足や具体的な対応方法が分からない点などが課題として浮き彫りとなっている。

調査概要
- 調査期間:2026年9月14日~9月30日(インターネット調査)
- 調査対象:全国2万2,095社
- 有効回答企業数:1万235社(回答率46.3%)
本記事は株式会社帝国データバンクの発表をもとに作成。
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