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光合成の足場を守るタンパク質VIPP1の進化解明 岡山大学などの国際共同研究

岡山大学資源植物科学研究所の坂本亘教授らの国際共同研究グループは、植物の光合成の足場となる「チラコイド膜」の形成や維持を担うタンパク質「VIPP1」の進化の過程を解明しました。さまざまなシアノバクテリアの系統を比較解析した結果、VIPP1は現在のチラコイド膜が成立する以前からすでに存在していたことが明らかになりました。本研究成果は2026年10月5日に国際学術誌『Plant & Cell Physiology』に掲載されています。

光合成の足場となるチラコイド膜とタンパク質VIPP1

植物の光合成は、細胞内の葉緑体にある「チラコイド膜」の上で行われます。この膜には光合成に必要なタンパク質複合体が並んでおり、光合成のための足場として機能しています。

チラコイド膜を作り、維持し、環境変化に応じて再構築するために重要な役割を果たすのが「VIPP1(Vesicle-Inducing Protein in Plastids 1)」です。VIPP1は多数の分子が集合して膜に作用する膜リモデリングタンパク質であり、高温や強光といったストレス下でもチラコイド膜を維持する働きが知られています。

VIPP1は、細菌の膜保護タンパク質「PspA」から進化したと考えられてきましたが、いつ誕生したのかは未解明でした。岡山市北区に本部を置く国立大学法人岡山大学(学長:那須保友)の高等先鋭研究院を構成する岡山大学資源植物科学研究所の坂本亘教授、同研究所非常勤研究員のAlexandre Muhire(ムヒーレ アレクサンダー)博士らは、国立台湾大学のMing-Yang Ho教授と共同で進化解析を行いました。

さまざまなシアノバクテリアの系統を比較したところ、ほとんどの系統でVIPP1とPspAの両方が確認され、VIPP1は現在のようなチラコイド膜が成立する以前から存在していたことが示されました。さらに、植物・藻類の葉緑体進化と、海洋性シアノバクテリアのゲノム縮小という異なる進化過程において、共通してPspAが失われ、VIPP1が残ったことが明らかになっています。

坂本亘教授は、VIPP1がチラコイド膜より前から存在し、異なる進化過程でも共通して残ってきた点に触れ、光合成生物がなぜVIPP1を残したのかを今後さらに明らかにしたいとしています。

論文情報と研究支援の背景

発表された論文の詳細は以下の通りです。

  • 論文名:Convergent Retention of VIPP1 over PspA in Photosynthetic Lineages
  • 著者:Alexandre Muhire, Ming-Yang Ho, Wataru Sakamoto
  • 掲載誌:Plant and Cell Physiology
  • DOI:https://doi.org/10.1093/pcp/pcag131
  • 公開日:2026年10月5日

本研究は、文部科学省科学研究費・学術変革領域研究(A)「光合成ユビキティ」計画研究および基盤研究(B)の支援を受けて実施されました。また、VIPP1に関する研究は、岡山大学RECTORプログラム(生命科学RECTOR国際光合成拠点)に基づき、ドイツ・ミュンスター大学との国際共同研究として進められました。

本記事は国立大学法人岡山大学の発表をもとに作成。

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