鳥山まことによる芥川賞受賞後初の単行本アウトラインが10月21日に発売
『時の家』で第174回芥川賞および第47回野間文芸新人賞を受賞した建築士作家の鳥山まことによる、受賞後初の単行本『アウトライン』が講談社より発売された。本作には、著者が「建築×文学」を書く原点となった2篇の中短編が収められている。装幀には特殊な加工が施され、作家の九段理江や書評家の石井千湖が推薦文を寄せている。






建築と文学の原点となった2作品を収録
表題作「アウトライン」は、建築を学んで建材メーカーに入社したものの、デザインへのセンスやこだわりに悩む優里が主人公である。社内のAIチャットの補佐業務を任されたことや、同僚と訪れた建物との出会いを通じ、仕事への向き合い方が変化していく様子が描かれる。
併録作「欲求アレルギー」の主人公である福田は、生理的欲求や衝動を感じると蕁麻疹が出る特異体質を持つ会社員である。外出先で症状が出た帰り道、重機が家屋を破壊する地鳴りのような重低音を耳にしたことで、症状が軽くなる現象に直面する。両作ともに『時の家』の一年ほど前に発表された作品となっている。
独自の装幀仕様と寄せられた推薦文
装幀は水戸部功が担当し、蛍光グリーンに縁どられた白い「空洞」が立体的に浮かび上がるデザインが採用された。背を除く三辺の断面には吹付の加工(三方小口塗り)が施されている。

本書には九段理江と石井千湖が推薦文を寄せた。九段理江は「人間を学ばされたAIから、人間は何を学ばされるのだろう。私の空隙と空洞を見つめた先にある聖域。」との言葉を寄せている。また石井千湖は、自らの価値や欲求の言語化という抑圧に抗う人々が描かれている点に触れ、作中の空洞が思考と感情を解放すると評した。

著者略歴と書籍の概要
著者の鳥山まことは1992年兵庫県宝塚市生まれ。2023年に「あるもの」で第29回三田文學新人賞を受賞した。2025年に「時の家」で第47回野間文芸新人賞、2026年には同作で第174回芥川龍之介賞を受賞しており、同一作品での両賞受賞は史上初となった。建築士として働きながら作家活動を続けている。単行本の概要は以下の通り。
- タイトル:『アウトライン』
- 著者:鳥山まこと
- 発売日:2026年10月21日
- 仕様:四六判上製・192ページ
- ISBN:9784065451663
- 出版社:講談社
- 定価:2,200円
- 装幀:水戸部 功
本記事は講談社の発表をもとに作成。
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