品川港南エリアにおいて自然資本モニタリングソリューションを活用しエコロジカルネットワークの形成を確認
NTTなど7社、品川港南エリアでエコロジカルネットワークの形成を確認
CATEGORY: テクノロジー
NTTアーバンソリューションズ株式会社やNTTドコモビジネス株式会社をはじめとする7社は、NTT都市開発株式会社が運営・管理する「品川シーズンテラス」および隣接する緑地や水辺空間を対象とした実証を実施しました。実証の結果、品川港南エリアにおいて生物が移動・生息できる自然環境のつながりである「エコロジカルネットワーク」が形成されていることを確認しました。NTTドコモビジネスが提供する「自然資本モニタリングソリューション」を活用し、得られた知見は今後の街づくりやソリューション検討に生かされます。
生物ビッグデータと環境情報から生息適地や移動経路を可視化
実証は、品川港南エリアを中心とした約5km四方を対象に行われました。株式会社バイオームが開発した市民参加型調査のいきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」で観測した生物ビッグデータと、土地利用や気候、標高、土地被覆、地形などの環境情報を組み合わせ、統計学的に生息範囲を推定する「種分布モデリング(SDM)」を用いて、誘致期待種や重要種を含む30種の生物の生息のしやすさを推定しました。

SDMによる推定結果と生態などをふまえて「生物の移動しやすさ」を地図上に可視化する「エコロジカルネットワーク分析」を実施したところ、分析対象となった30種のうち26種類について、品川シーズンテラスおよび周辺の緑地や水辺空間が生息適地であると推定されました。これにより、生物が大小さまざまな緑地を経由しながら移動できることが判明しています。

さらに、30種を対象にした「生物の移動しやすさ推計」により生物の移動経路を可視化した結果、品川シーズンテラスは臨海部における生物移動経路の中継拠点として機能し、南北方向に連続する生息空間の連結性を維持・向上するうえで重要な役割を果たしていることが示されました。なお、株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所は、実証フィールドの植生・生物種に関する既往調査や評価結果の整理、既存モニタリング手法との比較検討を行い、本技術の有用性を確認しています。
衛星画像AIと生物データを組み合わせたモニタリングソリューション

実証で用いられた「自然資本モニタリングソリューション」は、NTTドコモビジネスが2026年5月より提供を開始したICTソリューションです。指定エリアにおける植生や生物種の状況を広域かつ効率的に可視化・分析します。
同ソリューションでは、NTTドコモソリューションズ株式会社が開発した衛星画像データをもとにした植生推定AI(特許出願中)と、バイオームが保有する日本最大級の生物ビッグデータを組み合わせています。植生の状況や生物種の分布状況、存在確率などを推定して地図上に可視化し、分析・考察情報を提供します。実証を通じて、対象エリアや物件が生物を育みつなぐ高いポテンシャルを持つことや、適した緑地管理により生物多様性をさらに高められる可能性が確認されました。
各社の方針と今後の展開
NTTグループは、自然を回復軌道に乗せ持続可能な社会の実現をめざす「ネイチャーポジティブ」分野に向け、「NTTネイチャーポジティブ事業ビジョン」を2026年5月に策定し、グループ横断で取り組みを進めています。また、NTTアーバンソリューションズグループは2025年10月に「NTTアーバンソリューションズグループ生物多様性方針」を策定しており、不動産の開発・保有・運営を通じて生物多様性への影響把握や自然との共生を考慮した街づくりを掲げています。
NTTアーバンソリューションズグループは、実証で得られた知見を品川港南エリアでの将来的な不動産開発の検討や、他地域での街づくり提案に活用する方針です。NTTドコモビジネスは、都市部における自然資本の可視化・評価ソリューションの高度化を進め、デベロッパーや自治体への展開を図るとしています。
実証の実施概要と参画各社の役割
実証の概要および各社の役割は以下の通りです。
- 実証期間: 2026年5月~2026年7月
- 分析エリア: 品川港南エリアを中心とした約5km四方
- 分析対象種: 現地で確認された種に加え、市民参加型アプリ「Biome」の観察データと生態モデリング技術を組み合わせた、地域を代表する30種(鳥類、ハナバチ類、チョウ類、トンボ類、爬虫類、両生類のうち30種)
- 分析項目: 植生・緑地分布分析、生物の生息適地分析、エコロジカルネットワーク分析
- NTTアーバンソリューションズ株式会社(代表取締役社長 池田 康、本社: 東京都千代田区): 実証企画・実証結果の評価、フィードバック
- NTTドコモビジネス株式会社(代表取締役社長 小島 克重、本社: 東京都千代田区): 自然資本モニタリングソリューションの提供、プロジェクト全体推進
- NTTドコモソリューションズ株式会社(代表取締役社長 三ケ尻 哲也、本社: 東京都港区): 植生推定AI(特許出願中)を基にした緑地推定技術の開発
- 株式会社バイオーム(代表取締役 藤木 庄五郎、本社: 京都府京都市): 生物多様性データ提供、生物の生息地適地分析、エコロジカルネットワークの可視化・分析
- NTT都市開発株式会社(代表取締役社長 池田 康、本社: 東京都千代田区): 実証フィールドの提供
- 株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所(代表取締役社長 上野 晋一郎、本社: 東京都千代田区): 実証フィールド周辺における関連情報の整理および既存モニタリング手法との比較
- NTT株式会社(代表取締役社長 島田 明、本社: 東京都千代田区): NTTグループ横断での取り組み推進
本記事はNTTアーバンソリューションズ株式会社、NTTドコモビジネス株式会社、NTTドコモソリューションズ株式会社、株式会社バイオーム、NTT都市開発株式会社、株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所、NTT株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



