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日本総研、気候変動に伴う食クライシスに備える企業の適応戦略を提言

東京都品川区に本社を置く株式会社日本総合研究所(代表取締役社長:内川淳、以下「日本総研」)は、気候変動が食料供給と企業経営に及ぼす影響を分析したホワイトペーパーを作成した。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の排出シナリオを踏まえ、気温上昇に伴って食の安定供給が根底から脅かされる事態への対策として、企業に求められる二つの適応戦略を提言している。

2040年代に迫る食クライシスの実態

IPCCが示す中位から高位の温室効果ガス排出シナリオによると、2040~50年代にかけて世界の平均気温が産業革命前と比べてプラス2℃に達する可能性がある。日本総研は、平均気温が2℃上昇して「100年に一度」とされた高温がほぼ毎年起こる状態となり、食料を「作る・買う・届ける」ための前提が崩れて食の安定供給が脅かされる事態を「食クライシス」と定義している。

生産面では、農畜水産物の収量低下や品質低下により「採れても使えない」原料が増加するほか、適地移動に伴うインフラや加工などの産地システム全体の再構築が課題となる。調達・流通面でも、2026年夏に欧州の記録的な熱波と米国の深刻な干ばつで穀倉地帯が打撃を受けたように、複数産地での同時不作による国際的な調達競争や、物流網への影響による供給不足と食品ロスの併発が懸念されている。また、品質低下による原料の目減りは統計に表れにくく、値上げや欠品などの形で顕在化すると指摘されている。

産地と共に生産基盤を育てる川上共創戦略

日本総研は企業が取るべき対応の一つとして、食の生産基盤を産地と共に育てる「川上共創戦略」を提示している。一次産業への関与を社会貢献ではなく自社の事業継続のための投資と位置付け、「どこで作るか(産地)」「何を作るか(品種)」「どう作るか(生産方式)」の3要素に対し、契約・支援、共同投資、自社参入といった関与を進めるアプローチである。

具体的には、調達の軸を気候条件へ切り替えて冷涼地などの新産地形成を主導することや、2026年7月に成立した「気候変動等対応品種法」を踏まえた高温耐性品種の共同開発・引き取りなどが挙げられている。さらに、環境を制御する植物工場や陸上養殖といった生産方式を供給源に組み込むことも有効としている。

変動を事業内で吸収する適応設計戦略

もう一つの柱として提言されているのが、農畜水産物の量や質の変動を事業の中で受け止める「適応設計戦略」である。従来の決まった品質・時期を前提とする調達を見直し、以下の4つのアプローチで変動を吸収する手法が示されている。

  • Flex(しなやかにする):原料の量・質・産地の変動を前提に、レシピ調整や規格の再定義により同じおいしさを届ける
  • Replace(置き換える):供給リスクの高い原料を代替素材に切り替えるほか、精密発酵などのフードテックを活用して必要な成分を補う
  • Upcycle(使い切る):規格外品や未利用部位の加工品化、需要予測やダイナミックプライシングによる廃棄の削減を進める
  • Communicate(伝える):適応の背景を生活者に可視化して伝え、適応コストや商品の変化に対する納得を得る

求められる全社対応と外部連携

産地形成には年単位、品種開発には十年単位の時間を要するため、日本総研は食クライシスが顕在化する前の早期着手を促している。各企業が自社の「重要原料」を見極めたうえで、調達部門にとどまらず全社横断で「川上共創戦略」と「適応設計戦略」を組み合わせて推進することが供給網の強化につながるとしている。

また、インフラやデータ整備など一社で完結しない領域については産官学や金融機関との連携が必要とされるほか、生活者による応援消費を売り場で育てることも重要とされている。同社が作成したホワイトペーパー『「プラス2℃」がもたらす2040年「食クライシス」。企業に求められる適応戦略とは?』は、公式ウェブサイトで公開されている。

  • ホワイトペーパーURL:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/release/2026/1020.pdf

本件に関する問い合わせは、報道関係者は広報部の山口(電話:080-7154-5017)、一般はリサーチ・コンサルティング部門の関(電話:080-2586-1182)で受け付けている。

本記事は株式会社日本総合研究所の発表をもとに作成。

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