日本規格協会、靴のヒール強度・耐久性を評価するJISを3規格発行
東京都港区に本部を置く一般財団法人日本規格協会(理事長:朝日弘)は、2026年10月20日に靴のヒール強度・耐久性評価に関する日本産業規格(JIS)を発行した。発行されたのは「JIS S 5041(取付強さ)」、「JIS S 5042-1(耐疲労性)」、「JIS S 5042-2(耐衝撃性)」の3規格となる。国内で統一された試験方法が確立されたことで、品質の確保や消費者の安全・安心への寄与が期待されている。

制定の背景と目的
靴の着用中にヒールが外れる、または折れるトラブルは、歩行中や階段の昇降時における転倒やけがなど、重大なリスクにつながる危険性がある。これまで国内では統一された規格が存在せず、製品評価や品質管理における客観的な評価方法が確立されていなかったため、再現性のある評価方法の標準化が求められていた。
今回制定された規格群は、国際規格(ISO 22650、ISO 19956、ISO 19953)を基に作成された。歩行時に起こる多様なストレス環境を想定し、3つの観点から多角的に試験を実施することで、靴の構造的な信頼性を評価する。

主な制定のポイントと3つの試験方法
靴の安全性を包括的に評価するため、本規格群は以下の3つの試験方法で構成されている。

- ヒールの取付強さ(JIS S 5041)
靴本体とヒールとの接合強度や、歩行時における靴後部の変形しにくさ(剛性・永久変形率)を評価する。製造段階でヒールの取れやすさを事前に数値化できるため、結合不良による歩行時の脱落事故を未然に防ぐ実務的メリットがある。
- 耐疲労性試験(JIS S 5042-1)
通常の歩行で受ける小さな衝撃の繰り返しに対する耐性を評価する。振子により1秒間に1回(0.68J)の打撃を与え、上限2万回までの負荷を測定する。長期着用によって発生する金属補強芯やプラスチックの亀裂・疲労破壊を低減し、日常使用における耐久性を担保できる。
- 耐衝撃性試験(JIS S 5042-2)
階段の踏み外しや段差での衝突など、偶発的な強い衝撃を受けた際のヒールの折れにくさを評価する。衝撃エネルギーを段階的に高めて試験を行う。突発的な強い衝撃に対する安全限界を把握することで、製品の強度設計を見直し、事故リスクを大幅に下げることが可能となる。
発行された規格の概要
発行された規格の概要は以下の通り。なお、規格類は価格が変更される場合がある。
- JIS S 5041:2026 靴-試験方法-ヒールの取付強さ(Footwear-Test methods for whole shoe-Heel attachment)/税込価格:5,720円、A4判、12頁
- JIS S 5042-1:2026 靴-ヒールの試験方法-第1部:耐疲労性(Footwear-Test methods for heels-Part 1: Fatigue resistance)/税込価格:4,840円、A4判、10頁
- JIS S 5042-2:2026 靴-ヒールの試験方法-第2部:耐衝撃性(Footwear-Test methods for heels-Part 2: Resistance to lateral impact)/税込価格:4,840円、A4判、10頁
規格制定による効果
本規格群の制定により、靴メーカーや試験機関は客観的かつ再現性の高い試験方法で製品の安全性を評価できるようになる。これにより、安全な靴製品の市場流通が促進され、消費者の安心・安全の向上が見込まれる。
また、国際規格(ISO)と整合した試験方法を採用していることから、婦人靴をはじめとする日本の靴製品における国際取引の円滑化や、グローバル市場での信頼性確保にも寄与することが期待されている。
本記事は一般財団法人日本規格協会の発表をもとに作成。


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