イプソス調査、社会問題発言に政治的要因考慮が84% AI活用は76%に急増
世界最大規模の世論調査会社イプソス株式会社は、『イプソス レピュテーション協議会レポート 2026:予測可能性の先にある世界』を公開しました。調査によると、社会問題への発言判断に政治的要因を考慮する幹部が84%に達し、意見が分かれそうなテーマで沈黙を守る「戦略的沈黙」が企業コミュニケーションの規範として定着しつつある実態が示されています。また、コーポレートコミュニケーション業務でのAI本格活用は前年の43%から76%へと急増しました。
調査では、84%の幹部が自社が問題について発言するかどうかを判断する際に政治的要因を考慮していると回答しました。自社が正当に意見を表明できる立場にあっても、意見が分かれそうな問題については沈黙を守ることを好むとの回答は61%を占め、35%は過去12か月の間に以前なら発言していたであろう問題について沈黙を守ったと認めています。
この傾向はESG関連のコミュニケーションにも及んでおり、22%が過去1年間に確かなESGの進捗について意図的に発信を控えたと回答しました。発信を継続している組織においても伝える内容を絞り込んでおり、61%が自社のESGコミュニケーションはこれまで以上に的を絞ったものになっていると答えています。一方で、「戦略的沈黙」を企業の臆病さの表れだととらえる幹部は17%にとどまりました。
業務でのAI本格活用は76%に増加、倫理方針への懸念も
AIの活用は急速に進んでおり、業務でAIを本格的に活用している幹部の割合は2025年の43%から2026年には76%に増えました。コンテンツ制作の速度やコスト面で効率化が進む一方、人間の判断力の重要性が増しています。
自社の既存の倫理方針がAI導入に十分対応できていると考える幹部は12%にとどまりました。多くの幹部は、大規模言語モデル(LLM)が組織とステークホルダーの間の「仲介者」として情報認識や共有に影響を与えていると指摘しており、アーンドメディアの重要性や経営判断における評判の比重が再認識されています。
ステークホルダーの細分化が進むなか、46%の幹部がポピュリズムを自社にとって重大なリスクだと回答しました。経営陣が相反する期待を調整し、譲れない原則を明確にしながら許容できる反発の範囲を見極める支援が、コーポレートコミュニケーション担当者に求められています。
イプソス コーポレート・レピュテーション部門 グローバル・サービスライン・リーダーのMilorad Ajderは、「多くの組織にとって、『戦略的沈黙』は、分断と二極化が進み、先の読めない環境への意図的な対応となっています。いまのコーポレートコミュニケーション担当者に求められているのは判断力です。どの問題に取り組み、どの戦いに挑むべきかを見極め、確実性のない状況の中で組織が適切な意思決定を行えるよう支援することが課題となっています。」と述べています。
第19回となった今回の調査結果から、コーポレートコミュニケーションの役割が「メッセージを作ること」から不確実な状況下での意思決定を支える「判断」へとシフトしており、ストーリーテリングや関係構築に加え、AI活用力、データリテラシー、ビジネス感覚、レジリエンスが求められていることが示されました。
調査および組織概要
- 調査対象:レピュテーション協議会(世界の主要組織でコミュニケーションおよびコーポレート・アフェアーズ部門を率いる幹部によるネットワーク)のメンバー
- 調査手法:対面、電話、またはビデオ通話による詳細なインタビュー
- 実施件数:200件
- 調査期間:2026年3月から6月
- 調査回数:今回で19回目
イプソス株式会社
- 所在地:東京オフィス 〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
- 代表者:代表取締役 内田 俊一
- 事業内容:世論調査並びに各種市場調査の調査企画立案、実査、集計、分析、レポーティングに関する全てのサービス
- HP:https://www.ipsos.com/ja-jp

本記事はイプソス株式会社の発表をもとに作成しました。
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