医療機関の廃業急増 高齢化と後継者不在が要因
株式会社帝国データバンクが発表した「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)」によると、2024年の医療機関の倒産件数は64件、休廃業・解散件数は722件で、ともに過去最多を更新した。倒産件数は2009年の52件を大きく上回り、休廃業・解散件数は10年前の2014年と比べて2.1倍、20年前の2004年と比べて5.6倍に増加している。
業態別では、倒産件数は「診療所」が31件、「歯科医院」が27件、「病院」が6件で、「診療所」と「歯科医院」が過去最多を更新した。休廃業・解散件数は「診療所」が587件、「歯科医院」が118件、「病院」が17件で、「診療所」と「歯科医院」が過去最多となった。
倒産の主因は「収入の減少(販売不振)」が64.1%を占め、コロナ禍での受診控えや補助金削減、資材価格高騰による材料費や設備機器費の増大、人材確保のための賃上げ、コロナ関連融資の返済開始などが背景にある。
休廃業・解散の最大要因は、診療所経営者の高齢化で、70歳以上が54.6%を占める。また、診療所の50.8%が後継者不在と回答しており、今後さらに増加すると予想される。
2023年度の医療費は約47兆3000億円で過去最高を更新したが、事業環境の悪化により倒産・休廃業が増加。2025年も高水準で推移し、2026年には1000件に達する可能性が高まっているという。