Craif、尿中マイクロRNAによるすい臓がん高精度識別を発表
バイオAIスタートアップのCraif株式会社は、川崎医科大学附属病院消化器内科の吉田浩司教授らとの共同研究成果を「AACR Conference on Pancreatic Cancer 2026」で発表しました。本研究は、細胞外小胞由来の尿中マイクロRNAを用い、すい臓がんハイリスク患者における非侵襲的な検出可能性を示したものです。AI解析を活用し、識別が困難とされるすい臓がん患者とハイリスク患者を高精度に判別できることを確認しました。
5施設の医療機関による臨床研究とデータ解析
共同臨床研究は5施設の医療機関で実施され、すい臓がん患者144名、ハイリスク患者109名、健康成人26名から尿を採取してマイクロRNAやCA19-9を測定しました。解析にあたっては、すい臓がん患者とハイリスク患者を4:1の割合に分割し、訓練データとテストデータに用いています。
発現量を比較した結果、すい臓がん患者とハイリスク患者に共通して上昇するマイクロRNAが多数存在することが判明しました。これにより、がんになる前の段階から全身の状態変化が尿中マイクロRNAに反映されている可能性が示唆されたとしています。
診断性能の指標となるAUC(ROC曲線下面積)は、訓練データで0.888、テストデータで0.889を記録し、両者を高精度に識別できることが示されました。
また、尿中マイクロRNA検査で検出されたすい臓がんは、血液マーカーのCA19-9で陽性となった患者との相関が弱く、異なる生体情報を反映している可能性が示唆されています。そのため、CA19-9や他の検査法と組み合わせることで、より高精度なすい臓がんスクリーニング戦略の構築が期待されるとしています。

早期発見の課題とハイリスク層へのアプローチ
すい臓がんは自覚症状に乏しいまま進行することが多く、進行期(ステージIII〜IV)の5年生存率は数%にとどまる一方、ステージ0~IAの早期で発見できれば5年生存率は80%以上と報告されています。しかし、腹部超音波や造影CT・MRI/MRCP、侵襲的かつ専門技術を要する超音波内視鏡(EUS)、早期の感度が低い血液マーカーCA19-9など、既存の検査にはそれぞれ課題がありました。
特に2型糖尿病、慢性膵炎、すい臓がんの家族歴、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)、膵嚢胞、膵管拡張といったリスク因子を有する患者は発症リスクが高く、継続的なモニタリングが求められます。ハイリスク患者は分子レベルですい臓がん患者に近い傾向を示すため判別が容易ではないとされていましたが、今回の研究では尿中のエクソソームを回収・解析することで高い識別性能を示しました。
発表および企業概要
本成果が発表された学会および共同研究機関、発表元の概要は以下の通りです。
学会概要
- 名称:AACR Conference on Pancreatic Cancer 2026
- 開催期間:2026年 9月25日(金)~2026年 9月28日(月)
- 開催地:Hilton Bayfront San Diego(San Diego, California)
- 公式ホームページ:https://www.aacr.org/meeting/aacr-conference-on-pancreatic-cancer/
共同研究機関一覧(順不同)
- 川崎医科大学
- 北斗病院
- 慶應義塾大学医学部
- 鹿児島大学
- 国立がん研究センター中央病院
- 国立がん研究センター東病院
- 東京女子医科大学
- 熊谷総合病院
- バージニア・コモンウェルス大学(Virginia Commonwealth University)
Craif株式会社 概要
- 社名:Craif株式会社(英語表記:Craif Inc.)
- 代表者:代表取締役 小野瀨 隆一
- 設立:2018年5月
- 資本金:1億円(2025年4月1日現在)
- 本社:東京都新宿区新小川町8-30 THE PORTAL iidabashi B1F
- 事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発、自宅でかんたんがんリスク検査「マイシグナル®」の提供
- URL:https://craif.com/
本記事はCraif株式会社の発表をもとに作成しました。
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