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心不全患者の退院時UACR高値で腎機能低下や死亡リスクが上昇 順天堂大など発表

順天堂大学医学部循環器内科学講座などの研究グループは、入院心不全患者において、退院時の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が高い患者ほど退院後の腎機能低下が大きく、腎関連イベントおよび全死亡リスクが高いことを明らかにしました。国内87施設が参加した多施設前向き観察研究「JROADHF-NEXT」のデータを用いた解析によるもので、退院時のUACR測定が将来の腎機能悪化や生命予後を評価する指標として有用な可能性を示しています。本成果をまとめた論文は、Journal of Cardiac Failure誌のオンライン版に2026年9月30日付で公開されました。

心不全患者における腎機能低下の予測と課題

心不全は高齢化に伴って患者数が増加している循環器疾患であり、入院を要する患者では退院後も死亡や再入院のリスクが高いことが知られています。また、心不全患者は腎機能障害を合併することが多く、心臓と腎臓が相互に影響し合う心腎連関が病態や予後に大きく関与します。

尿中に排泄されるアルブミン量を評価するUACRは、慢性腎臓病において腎障害の検出や将来の腎機能低下を予測する重要な指標として用いられてきました。しかし、心不全領域におけるUACRの研究は死亡や心不全入院との関連を中心に行われており、退院後の腎機能低下や腎関連イベントとの関連は十分に検討されていませんでした。

国内87施設・3,107名の患者データを解析

研究グループは、2019年から2021年にかけて国内87施設で実施された「JROADHF-NEXT」に登録された入院心不全患者のうち、退院時に採取され凍結保存された尿検体からUACRを測定できた3,107名を対象に解析を実施しました。対象患者の中央値年齢は76歳、男性は62%でした。

患者はUACRの値に基づき、以下の3群に分類されました。

  • A1(UACR < 30 mg/gCr):2,051名(66.0%)
  • A2(UACR 30–300 mg/gCr):695名(22.4%)
  • A3(UACR > 300 mg/gCr):361名(11.6%)

UACRの上昇に伴い腎機能低下と死亡リスクが増加

退院時から1年後までの推算糸球体濾過量(eGFR)の変化を評価したところ、UACRの値が高い群ほど低下が大きい結果となりました(ANCOVA解析 P < 0.001)。年齢、性別、退院時eGFRの違いを統計学的に補正した比較では、1年後までのeGFR変化量はA1群で -2.4 mL/min/1.73m²、A2群で −4.2 mL/min/1.73m²、A3群で −5.1 mL/min/1.73m² でした。

退院後2年間の追跡期間中には、腎関連死、維持透析の開始、eGFR 40%以上の低下、腎不全への進行を含む腎関連イベントが195名(6.3%)に発生しました。発生率はA1群で4.6%、A2群で7.5%、A3群で13.6%と段階的に増加し(傾向検定 P < 0.001、カイ2乗検定 P < 0.001)、背景を調整したロジスティック回帰分析でもA1群に対してA2群(オッズ比 1.83、95%信頼区間(CI) 1.27–2.61)とA3群(オッズ比 3.69、95%CI 2.48–5.44)のリスクが有意に高いことが確認されました。

さらに、従来の予後予測指標であるGWTG-HFリスクスコアやlog BNP、左室駆出率、NYHA心機能分類、貧血の有無などを考慮したCox比例ハザードモデル解析でも、UACRが高い群で全死亡リスクが有意に高いことが示されました(A2:ハザード比 1.39、95% CI 1.13–1.69、P = 0.002;A3:ハザード比 1.55、95% CI 1.20–2.01、P = 0.001)。この関連は、左室駆出率による心不全病型の違いを考慮した解析でも一貫して確認されています。

今後の臨床応用への期待

UACRは尿検査項目の一つであり、非侵襲的かつ比較的簡便に測定できることから、入院や外来を問わず幅広く活用できる可能性があります。研究グループは、UACRが心臓と腎臓の状態を統合的に反映するマーカーとして活用できる可能性を示したとし、今後はUACR値の経時的な変化や治療介入後の変化を含めた研究を通じて臨床的活用法を明らかにしていくとしています。

本研究は、順天堂大学医学部循環器内科学講座の赤間優香非常勤助教(論文表記:赤間 友香)、真 優スレーシュワル大学院生、中出泰輔助教、藤本雄大非常勤助教、末永祐哉准教授、南野徹教授らによって実施され、日本医療研究開発機構(AMED)(JP19ek0210080)および厚生労働科学研究費補助金(20FC1051)の支援を受けました。

本記事は順天堂大学の発表をもとに作成されています。

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