ispace欧州法人と伊ALTEC、月面探査ローバー試験や運用訓練の協業検討で覚書
株式会社ispaceの欧州法人であるispace-EUROPE S.A.(以下ispace EUROPE)と、イタリアのALTEC – Aerospace Logistics Technology Engineering Company S.p.A.(以下ALTEC)は、月面探査ローバーの試験、ミッションシミュレーションおよび運用訓練における協業の可能性を検討するため、覚書を締結した。両社は、ispace EUROPEが月面を模した環境でローバープラットフォームの運用をシミュレーションするため、ALTECの施設活用を検討する。また、月面探査技術や月面モビリティ、宇宙資源の活用に関する幅広い協力についても検討を進める。
施設活用と技術検証における協業内容
本覚書に基づき、月面探査ローバーのプラットフォームおよび関連機器の機能試験、ミッションシミュレーション、オペレーターのリハーサルやサブシステムおよびシステムレベルでの検証、妥当性確認が検討される予定となっている。さらに、運用チームを対象とした訓練や認定プログラムなども協業内容に含まれる見通しだ。
ispace EUROPEにとって今回の取り組みは、月面探査ローバーのラインアップや将来の月面モビリティミッションの開発を進める上で、欧州における専門的な試験およびミッション運用インフラへのアクセスを拡大する機会となる。
ALTECの実績と新センターの開発
イタリアのトリノを拠点とするALTECは、Thales Alenia Spaceとイタリア宇宙機関(ASI)が出資する民間企業である。2019年から欧州宇宙機関(ESA)のExoMars Rosalind Franklinローバーのミッション管制施設であるRover Operations Control Centre(ROCC)を運用しており、現在はローバーシステムの地上試験に活用されている。
さらにALTECはASIの資金提供を受け、ロボティクスによる月面探査ミッションや関連する運用シミュレーション、試験に特化した新たな月面シミュレーションセンター(Lunar Simulation Centre)の開発を進めている。同施設では、将来の月面ミッションに向けた技術やシステム、運用コンセプトの試験・検証を支援するため、月面を模擬した環境や機能が提供される予定となっている。
両社CEOによるコメント
ispace EUROPEのCEOであるJulien-Alexandre Lamamyは、月面を模擬した環境での試験やシミュレーション、オペレーター訓練は活動成功に不可欠であるとした上で、同社の知見とALTECの高度な施設や専門知識を融合させ、将来のミッションを支える実運用可能なローバーシステムの開発を加速させていく意向を示した。
ALTECのCEOであるVincenzo Giorgio氏は、これまでの惑星探査ミッション運用の経験を活かして将来の月面探査を支える能力を発展させる機会になると述べ、「これらの施設や能力を、月面探査ローバー技術の開発、検証、運用にどのように活用できるかをispace EUROPEとともに検討し、より強固な欧州の月面探査エコシステムの構築に貢献できることを期待しています」とコメントしている。
株式会社ispaceの概要
株式会社ispace(証券コード9348)は、東京都中央区に本社を置き、代表取締役を袴田武史が務める月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業である。
- 設立: 2010年
- スタッフ数: 現在約350名(日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動)
- 主な実績: Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームの1つ「HAKUTO」を運営。2023年に民間企業として世界初となる月面着陸に挑戦するミッション1を実施。2025年にミッション2を実施し、月周回までの輸送能力や姿勢制御、誘導制御機能を実証
- 今後の計画: 最速2027年に新ミッション2.5として月周回衛星1基を軌道投入予定。2028年には経済産業省のSBIR補助金を活用したランダーモデル「ULTRA(ウルトラ)」によるミッション3を、2029年には南極近傍への高精度着陸を目指すミッション4の打ち上げを予定(※打上げ時期はいずれも2026年10月時点の予定。ミッション3は当初2027年中の合意から社内開発計画上2028年内見込みへ変更調整中であり、正式な計画変更認可を要する)
- ウェブサイト: https://ispace-inc.com/jpn/
本記事は株式会社ispaceの発表をもとに作成されています。
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