PagerDuty調査、障害対応現場の77.4%が体制維持は難しいと回答
インシデント管理ソリューションを提供するPagerDuty株式会社は、従業員1,000名以上の企業で障害対応を担う316名を対象に実施した「AI時代のシステム障害対応に関する現場実態調査」の結果を公表した。調査によると、現場の66.2%が現在の体制では障害対応を「対応しきれていない」と答え、77.4%が「体制の維持は難しい」と回答した。一方で、障害対応の裏で止まっている業務を経営層が「把握していない」との回答は47.5%にのぼり、現場の負担と経営層の認識の間にギャップが生じている実態が示されている。
現場の93.7%が対応に余裕なしと回答
現体制での対応状況については、「恒常的に対応しきれていない(19.0%)」「対応しきれないことがある(47.2%)」「なんとか対応できているが余裕はない(27.5%)」を合わせると93.7%に上った。現在と同程度の障害対応が続いた場合、77.4%が「現在の体制のまま続けるのは難しい」と答えている。
調査の背景として、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の公表資料(2026年7月16日)では従業員1,001人以上の企業の8割近くがすでにAIを導入し、DX人材が不足していると答えた企業は85.5%に達している。また、金融庁の分析レポート(2026年7月)では2025年度に報告された金融機関のサイバー攻撃や情報漏洩を含むシステム障害が約1,600件とされ、ITおよびサイバーリスクを経営上のトップリスクとして認識することが求められている状況がある。
運用の複雑化と改善業務の後回しが浮き彫りに
過去1年の運用現場の変化としては、「外部サービスとの連携が複雑化(50.6%)」「運用システムの数が増加(49.4%)」が首位となった。一方で「人員が増えていない」は35.4%であり、システムの複雑化が現場を圧迫している実態がうかがえる。
障害対応により後回しにした業務の上位は、「システムの改善・リファクタリング(50.3%)」「手順書の整備(44.9%)」「障害の再発防止策(40.5%)」などが挙げられた。レポートでは、障害対応が優先された結果として改善や整備、育成といった業務が積み残されていく状態を「運用赤字」と定義し、可視化されにくいため経営層の把握度が低くなっていると考察している。
3人以下への知識集中がもたらす事業継続リスク
障害対応の判断や知識が「3人以下」に集中している職場は39.9%に達した。中心担当者が不在になった場合の影響については、68.0%が「同水準の対応は難しい」「対応が遅れる」と回答しており、属人化による事業継続リスクが浮き彫りとなっている。
現場と経営層の認識ギャップを解消しシステム運用を健全化するため、レポートでは経営層に向けて以下の3つのアクションを提言している。
- 障害対応の時間と、その裏で止まっている業務を可視化し、経営が正しく把握する。
- 個人の努力に頼る体制から、システム運用に関する知識をチームで共有する仕組みへ移行する。
- 現場が経営に知ってほしい項目を、組織のシステム運用に関する対応力を測る指標として定期的に確認する。
PagerDuty株式会社代表取締役社長の山根伸行氏は、調査を通じて現場のおよそ9割近くが限界を感じ運用赤字が積み上がっている実態が明らかになったとし、持続可能なシステム運用体制を築くための議論を後押ししていくとコメントしている。
調査概要
- 調査名称:システム障害対応に関する現場実態調査(「AI時代のシステム障害対応に関する現場実態調査」第1回/全6回)
- 調査主体:PagerDuty株式会社
- 調査方法:株式会社IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2026年8月13日〜8月18日
- 有効回答:従業員1,000名以上の企業に勤め、自社または顧客企業のシステム運用・保守、SRE、セキュリティ運用のいずれかに携わり、過去1年以内にシステム障害・アラートへの対応を自ら行った方 316名
- 調査項目:過去1年の運用現場の変化/現在の体制での対応状況と継続可能性/障害対応により後回しになった業務/判断・知識の集中度と中心担当者不在時の影響/経営層の実態把握度/経営層・他部門に知ってほしいこと(全9問)
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入。調査結果引用の際は「PagerDuty株式会社調べ」の明記が必要とされている。
本記事はPagerDuty株式会社の発表をもとに作成。参照元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイントを公開」(https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2026/rcu1hd0000016yh4-att/press20260716.pdf)、金融庁「金融分野におけるITレジリエンスに関する分析レポート」(https://www.fsa.go.jp/news/r8/sonota/20260730/01.pdf)
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