高齢者の就労頻度と健康リスクの関連を分析 千葉大学
千葉大学予防医学センターの研究チームは、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を対象に、就労頻度と3年後の健康・ウェルビーイングとの関連を46の指標で検証した研究成果を発表しました。分析の結果、週1~3回または週4回以上就労している高齢者では幸福感や生活満足度が高く、死亡や認知症、要介護のリスクが低い関連がみられました。一方、週4回以上働く層では喫煙や飲酒のリスクが高いなど、一部に好ましくない傾向も示されています。
日本老年学的評価研究のデータをもとに分析
これまでの研究では、高齢期の就労がうつ症状の軽減や死亡リスクの低下につながる一方、長時間の労働やストレスが健康リスクを高めることが報告されていました。しかし、就労頻度ごとに身体的・精神的・社会的側面を網羅して検証した研究はありませんでした。
今回の研究では、日本老年学的評価研究のデータを用いて分析が行われました。対象となったのは、2016年・2019年・2022年の3時点の調査に参加した25自治体の41,758人と、2016年・2019年の調査に参加し、2019年から2022年までの介護賦課データを結合できた21自治体の56,153人です。介護賦課データとは、市区町村が65歳以上の第1号被保険者などの介護保険料を正しく算出し徴収するために保有するシステムデータを指します。
研究チームは、就労者を就労頻度別(月1〜3回または年数回、週1〜3回、週4回以上)に分類し、非就労者を基準として健康状態との関連を比較しました。
週1〜3回の就労で24指標に好ましい関連
非就労者と比較した場合、週1~3回程度働いている人では、3年後の幸福感や生活満足度が高い結果となりました。
さらに、死亡リスクで29%、認知症リスクで43%、要介護リスクで40%低くなるなど、24指標において好ましい関連が示されました。
週4回以上の就労におけるメリットと課題
週4回以上働いている人においても、週1~3回程度働いている人と同様に幸福感や生活満足度が高く、死亡リスクで40%、認知症リスクで46%、要介護リスクで45%リスクが低いなど、25指標で好ましい関連が確認されました。
一方で、スポーツや趣味の会などへの社会参加が少なく、喫煙や飲酒をするリスクが高いなど、4指標で好ましくない傾向も示されました。研究チームは、スポーツや趣味の会への参加が少ない点について、社会とのつながりが失われたためではなく、就労に時間を充てた結果であると考えています。
研究チームは今後の展望として、就労の質や負荷、就労条件についても測定することで、高齢者が健康に働ける環境整備につながる知見を示していきたいとしています。
発表論文と研究概要
本研究成果は、2026年9月6日に学術誌Archives of Gerontology and Geriatricsでオンライン公開されました。
- タイトル:Work frequency and subsequent health and well-being among older adults in Japan: An outcome-wide study
- 著者:竹内寛貴、井手一茂、近藤克則、中込敦士
- 雑誌名:Archives of Gerontology and Geriatrics
- DOI:10.1016/j.archger.2026.106401
本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業(JSPS科研費、課題番号25KJ0720)の助成を受けて実施されました。
本記事は千葉大学の発表をもとに作成しました。
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