人権を中心的価値とする「スポーツハラスメントZERO協会」設立へ

スポーツ界におけるハラスメント問題に取り組む新たな団体が誕生しました。人権を中心的価値とする「一般社団法人スポーツハラスメントZERO協会」が、兵庫県神戸市に設立されました。代表理事には法学者の谷口真由美氏が就任し、ハラスメントのないスポーツ環境の実現を目指します。

この団体は、スポーツを通じて多くの笑顔が生まれ、人生が豊かになることを願っています。そのための最大の課題として、スポーツからハラスメントをなくすことを掲げています。その目標が達成されたとき、つまりスポーツからハラスメントがなくなったときには、この団体の存在意義はなくなるとしています。

設立の背景には、2012年に高校運動部でキャプテンを務める男子生徒が自死するという悲しい事件があります。その後、2013年に「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」が採択され、日本スポーツ界はハラスメント防止、啓発活動を継続してきました。しかし、その宣言から10年が経った現在でも、スポーツハラスメントに関する事案は後を絶たず、ハラスメント防止の土壌が整っているとは言えない状況にあります。

この団体は、スポーツハラスメントを防止する改善活動を通じて、社会に貢献したいと考えています。しかし、主役は団体ではなく、スポーツを「する」「見る」「支える」すべての人々です。そのため、団体は「裁かない」「誰もが被害者にも加害者にもなりうる」「居場所になりたい」という3つの心がまえを持って活動します。

具体的な活動内容としては、「スポーツハラスメント検定」の開始、「セーフガーディング検定」の提供、「講演・セミナー」の実施などが予定されています。また、今後の活動として、「認定講師事業」「認定組織事業」「他団体との協働事業」「コンサルテーション事業」などが計画されています。

この団体の設立は、スポーツ界におけるハラスメント問題に真剣に取り組む意志の表れであり、その活動がスポーツ界だけでなく、社会全体のハラスメント問題の解決に寄与することを期待します。