胃・食道接合部腺がんへのエボルパセプト併用療法の有効性を確認 国立がん研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院の消化管内科長である設楽 紘平らの研究グループは、HER2陽性切除不能または転移性胃・食道接合部腺がんを対象とした国際共同試験「ASPEN-06」の第II相部分を実施しました。CD47阻害薬エボルパセプトを既存の併用療法に追加することで、特定の患者集団において対照群を上回る抗腫瘍効果が確認されました。研究成果は2026年9月24日に科学雑誌「Nature Medicine」に掲載されました。
ASPEN-06試験の概要と奏効割合
本研究は、HER2陽性切除不能または転移性胃・食道接合部腺がんに対する二次または三次治療として、CD47阻害薬エボルパセプト(evorpacept)をトラスツズマブ、ラムシルマブおよびパクリタキセル(TRP療法)へ追加することの有効性と安全性を検証した国際共同無作為化第II相試験です。
試験では127例をエボルパセプト併用群または対照群へ無作為に割り付け、主要評価項目である担当医評価による奏効割合の評価や安全性などを検討しました。その結果、奏効割合は全患者集団で40.3%、新規生検によりHER2陽性が確認された患者では54.8%となり、対照群を上回る抗腫瘍効果が認められました。
長期フォローアップによるデータを用いた探索的バイオマーカー解析では、HER2発現が保持され、さらにCD47高発現を示す患者において最も高い治療効果が認められました。HER2保持CD47高発現群における治療成績は以下の通りです。
- 奏効割合:63.6%
- 無増悪生存期間中央値:19.5か月
- 無増悪生存期間ハザード比:0.38
一方で、HER2発現保持が確認されない患者やCD47低発現患者においては、エボルパセプト追加による明らかな上乗せ効果は認められませんでした。
安全性の確認と研究の意義
安全性については、既知のトラスツズマブ・ラムシルマブ・パクリタキセル療法と概ね同様であり、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。
本研究は、CD47標的治療の可能性やCD47阻害による抗体薬の効果増強、バイオマーカーに基づく個別化治療および患者選択の重要性を示唆する無作為化試験となっています。
発表機関の概要
- 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:間野 博行、東京都中央区)
- 国立がん研究センター東病院(病院長:土井 俊彦、千葉県柏市)
本記事は国立研究開発法人国立がん研究センターの発表をもとに作成。
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