最低賃金と採用時の最低時給に関する企業の実態、都市部と地方で格差が顕著

株式会社帝国データバンクが実施した最低賃金改定に対する企業の見解についての調査によると、従業員採用時の最低時給は平均1,167円で、2024年改定の最低賃金を112円上回ることが明らかになった。

業界別では、金融と不動産がともに1,261円でトップとなり、建設、サービス、卸売が続いた。サービス業界内でも情報サービスや専門サービスは1,300円を超える一方、旅館・ホテルや飲食店は最低賃金を下回る水準にとどまるなど、業界間だけでなく同業界内でも差が大きいことが分かった。

都道府県別では、東京都が1,340円で唯一1,300円を超え、神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉の5府県で1,200円台となった。東京都では、改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が+177円と最大だった。一方、青森、秋田、鹿児島の3県は最低時給の平均が1,000円を下回り、地方において差額が小さくなる傾向が表れた。

調査結果から、最低賃金での募集では継続的な従業員の確保が難しいため、最低賃金を上回る金額に引き上げざるを得ない企業が多いと考えられる。物価上昇が続くなかで従業員の給料を上げることで消費を促す必要性を訴える声がある一方、130万円の壁を超えないようにするため労働時間を意図的に抑える従業員の増加による人手不足の加速を懸念する声も多数寄せられている。

政府は最低賃金の引き上げを続けるだけではなく、人手不足や価格転嫁への対応、社会保障制度の改定など、企業の経営状況がひっ迫しないよう政策を打ち出していく必要があるだろう。

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