宮﨑駿の画業集大成 『イメージボード全集』刊行へ
スタジオジブリは、2024年12月から宮﨑駿監督の画業の集大成となる『宮﨑駿イメージボード全集』の刊行を開始する。本書は、宮﨑監督が手掛けたイメージボードやストーリーボードなどの〈絵〉を可能な限りすべて集めた画集だ。
イメージボードは、これから作ろうとする映画の作品世界を探り、スタッフと共有するために描かれるもので、宮﨑監督の創作過程に不可欠な存在。本書では、スタジオジブリにある宮﨑監督手描きの〈絵〉をすべて収録し、原画から高精度スキャナーで読み込むことで、原画と変わらぬ色彩やタッチなどの風合いの再現をめざしている。大判の判型(350ミリ×257ミリ)を採用し、原画と同じ大きさ、または近いサイズで〈絵〉を掲載する。
シリーズの各巻は、宮﨑監督が監督した「風の谷のナウシカ」以降の劇場用映画を完全網羅し、スタジオジブリ創設以前の初期作品も収録予定だ。また、各巻末には作品に即した逸話や〈絵〉の誕生の経緯を語る、鈴木敏夫プロデューサーの新規インタビューを掲載する。
第1巻「風の谷のナウシカ」と第2巻「天空の城ラピュタ」は2024年12月5日に同時刊行され、第3巻「となりのトトロ」は2025年3月の刊行が予定されている。以降、「魔女の宅急便」「紅の豚」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」「君たちはどう生きるか」など、宮﨑監督が携わった作品を網羅していく。
スタジオジブリの鈴木敏夫は、「宮﨑駿が映画を作る時の大きな特徴は、まずイメージボードを描くということだ。そのイメージボードのなかには映画に必要な情報、時間・空間・キャラクターの表情・性格・動き――すべてが描かれていて、こんなことができるのは宮さん以外誰もいないと教えてくれたのは、高畑勲だった。しかしこれまで宮さんの本格的なイメージボード集はなかった。今回の刊行をいちばん楽しみにしているのは僕かもしれない」とコメントしている。
本書は、アニメーション映画史に残る宮﨑駿監督の画業の集大成であり、その創作の秘密に迫る貴重な一冊となるだろう。