人類学者磯野真穂の新刊 社会が壊れるその前に が新潮選書より発売
人類学者で東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授を務める磯野真穂による新刊『社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学』が、新潮社より発売された。
本書は、イギリスの人類学者メアリ・ダグラスの著書『ナチュラル・シンボル(Natural Symbols)』を手がかりに、現代社会に蔓延する孤独や不安、競争との向き合い方を提示する内容となっている。
古典『ナチュラル・シンボル』を手がかりに現代社会を考察
本書で取り上げられているメアリ・ダグラス(1921-2007)の『ナチュラル・シンボル(Natural Symbols)』は、約半世紀前に記された人類学の古典である。同書では、苛烈な競争社会や能力資本主義の到来による孤独や不安の増大、個人の価値を追求する層と民族や国家に救いを求める層による社会の分断、セカイ系や推し活といった現象の広がりなどが警告・予測されていた。
『社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学』は「象徴」をキーワードにダグラスの人類学をアップデートし、感情の暴走から社会を守るための視座を示す試みとなっている。
境界をなくす風潮への違和感と執筆の背景
著者の磯野は刊行にあたり、自身の過去の著作の刊行後、境界をなくすことや複雑性に耐えることを称賛する依頼や書籍が増えたことに触れ、分類や境界を設けること自体を問題視する風潮に対して違和感を抱いたことを明かしている。
分類や境界という構造があるからこそ、そこにはまらない存在や偶然が価値を持つとした上で、同様の警告を約半世紀前に行っていたダグラスの視点を借りながら、社会を良くしようとする試みが抱える問題に悩む読者に向けて本書を執筆したとしている。
著者紹介
磯野真穂は長野県安曇野市出身の人類学者。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、オレゴン州立大学スポーツ科学部に学士編入し、同大学大学院にて応用人類学修士号を取得した。早稲田大学大学院文学研究科で博士(文学)を取得後、早稲田大学文化構想学部助教、国際医療福祉大学大学院准教授、在野の研究者を経て、2024年より東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授を務める。
著書に『なぜふつうに食べられないのか:拒食と過食の文化人類学』『医療者が語る答えなき世界:「いのちの守り人」の人類学』『他者と生きる:リスク・病い・死をめぐる人類学』『コロナ禍と出会い直す:不要不急の人類学ノート』(第33回山本七平賞受賞)などがある。また、宮野真生子との共著『急に具合が悪くなる』は濱口竜介監督により映画化され、カンヌ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。


書籍データ
- タイトル:社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学
- 著者名:磯野真穂
- 発売日:2026年9月28日(月)
- 造本:新潮選書(四六判変型ソフトカバー)
- 本体定価:1,980円(税込)
- ISBN:978-4-10-603953-9
- URL:https://www.shinchosha.co.jp/book/603953/
本記事は新潮社の発表をもとに作成。
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