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千葉大など開発の不眠症治療アプリIIIP MEDで短期間の症状改善を確認

千葉大学病院(病院長:大鳥精司)の清水栄司教授、花岡英紀教授ら、秋田大学の竹島正浩准教授(研究当時、現:睡眠メンタルクリニックなかこうじ)ら、東京医科大学の井上雄一客員教授らの研究チームは、千葉大学が開発した5週間デジタル認知行動療法(dCBT-I)アプリ「IIIP MED(以下、スリーピーメド)」の有効性と安全性を確認する研究を実施しました。その結果、不眠症状が短期間で改善し、副作用が見られなかったことが明らかになりました。研究成果は、2026年8月18日に学術誌Sleep Medicineで公開されています。

不眠症治療アプリ開発の背景と治験の概要

認知(ものの受け取り方や考え方)に働きかけて症状の改善を図る薬を使わない精神療法「認知行動療法(CBT-I)」は、副作用がないため欧米の不眠症ガイドラインで最初に試みる治療法として推奨されています。日本では2026年6月から保険適用となりましたが、専門家不足や頻繁に通院する必要があるといった課題から普及が進んでいませんでした。

千葉大学が2015年から試作品の開発に着手し医療機器として開発した不眠症の治療アプリ「スリーピーメド」は、従来の認知行動療法プログラムに加え、ポジティブ心理学で用いられる「3つの良いこと」エクササイズ(①できたこと、②楽しかったこと、③感謝したいことのような小さな良いことを書き出すエクササイズ)を組み込んで不眠を改善するものです。地理的・時間的制約なく、5週間で治療を完結できる特徴を持ちます。

有効性と安全性を確認するため、睡眠薬「ゾルピデム」(5mg/日)と直接比較する治験が、千葉大学病院臨床試験部(Academic research organization: ARO)の支援下で2023年9月から2025年2月にかけて不眠症患者24名を対象に実施されました。

治験結果とアプリの有効性・安全性

治験の結果、アプリ使用群の入眠時間は平均約20分短縮し、ゾルピデム服用群と同等の効果が示されました。さらに、治療終了から5週間後の追跡調査(10週目)においてゾルピデム服用群は症状のぶり返しがあったのに対し、アプリ使用群では使用終了後でもさらに入眠時間が短縮し(-29.02分)、効果の持続性が確認されました。

あわせて、認知行動療法が治療の主な目的とする「睡眠に対する誤った思い込み」の大幅な改善も認められています。安全性に関しては、ゾルピデム服用群で日中の眠気が1件報告された一方、アプリ使用群での副作用はゼロでした。これにより、5週間で不眠症状を軽減できる医療機器プログラムの可能性が示されました。

今後の展望と研究支援体制

研究チームは、本医療機器の社会実装(薬事承認・保険適用)に向けて、今後はより大規模な検証を進める方針です。既存の処方型アプリと相補的な選択肢となることで、睡眠薬に頼らない高品質な不眠症治療を全国に普及し、国民の睡眠の質向上への貢献を目指すとしています。

なお、本研究は以下の支援によって実施されました。

  • 日本医療研究開発機構(AMED) 医療機器開発推進研究事業(令和4年4月~令和7年12月) 不眠症患者に対する治療(認知行動療法)アプリに関する研究開発 (研究開発代表者 清水栄司) Grant Number JP23hk0102088
  • 臨床研究データベース(jRCT)研究番号 jRCT2032230353

論文の詳細は以下の通りです。

  • タイトル:Efficacy and Safety of a Novel Digital Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia Application versus Zolpidem: An Exploratory Randomized Controlled Trial
  • 著者:Eiji Shimizu, Daisuke Sato, Mirai Miyoshi, Haruna Ebisu, Kohei Takahashi, Yosuke Inaba, Yuichi Inoue, Masumi Osao, Masahiro Takeshima, Masaya Ogasawara, Yoshiyuki Hirano, Hideki Hanaoka
  • 雑誌名:Sleep Medicine
  • DOI:https://doi.org/10.1016/j.sleep.2026.109222
  • URL:https://authors.elsevier.com/a/1neCg4y2NrGMs4

本記事は千葉大学病院などの研究チームの発表をもとに作成しました。

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