光照射でのり残りなく剥離可能な接着材料を開発 阪大などの研究グループ
大阪大学、三重大学、山形大学、大阪工業大学の研究グループは、光照射によって接着界面近傍の力学特性を変化させ、選択的に剥離できる新しい光応答接着材料を開発しました。紫外線を照射することで基板へののり残りを低減して剥離できるほか、異なる波長の紫外線照射によって再接着も可能であることを実証しました。電子機器や自動車などの分解・リサイクル技術への応用や、次世代接着材料設計の新たな指針となることが期待されています。
接着剤ののり残りと再利用における課題

接着剤は製品の組み立てに不可欠な素材ですが、一度接着すると剥がしにくく、無理に剥がすと基板や接着剤そのものが損傷する課題があります。そのため、使用後に必要なときだけ剥がせる接着材料が求められていました。
しかし、従来の刺激応答型接着材料は、外部刺激に対して材料全体の力学強度を低下させる仕組みであるため、剥離時に接着剤が基板上に残ってしまう問題がありました。
光応答性アクチュエータの設計を応用した界面制御
研究グループは、これまでに開発してきた可逆的な架橋構造を持つ光応答性エラストマーに着目しました。この材料が持つ「光照射面の弾性率のみが可逆的に変化する」という特性を接着材料へ応用し、接着剤全体を弱くするのではなく、接着界面近傍の力学特性を局所的に変化させる設計思想(界面スイッチング)を取り入れました。
研究を率いた大阪大学大学院理学研究科の髙島義徳教授は、分子レベルの会合・解離の平衡を利用して接着界面近傍の力学特性を光制御することで、接着性とリサイクル性を両立する材料設計を実現したとしています。
この設計により、紫外線を照射した部分だけを選択的に剥離し、基板へののり残りを防ぐとともに、波長の異なる紫外線を照射することで接着性能を回復させ、繰り返し使用することが可能となりました。
資源循環型ものづくりへの貢献に期待
本成果は、接着剤全体ではなく接着界面の力学特性を変化させることで、電子機器や自動車などの分解・修理・リサイクルを容易にするだけでなく、接着材料そのものの回収や再利用も可能にします。
電子材料、モビリティ、半導体実装などの幅広い分野において、資源循環型ものづくりを支える基盤技術となることが期待されています。

論文情報
本研究成果は、米国科学誌「Matter & Light」(オンライン)に掲載されます。
- タイトル:Interfacial Switching-Driven Photoactuator Adhesives for Selective Peeling and Substrate Recycling
- 著者名:Yunpeng Qian, Jiaxiong Liu, Kenji Yamaoka, Sho Kosaba, Ryohei Ikura, Shintaro Yasuda, Yoshiki Uegaki, Yoshihisa Fujii, Go Matsuba, Yasutomo Uetsuji, Yoshinori Takashima
- DOI:https://doi.org/10.1016/j.matlit.2026.100094
本記事は大阪大学、三重大学、山形大学、大阪工業大学および科学技術振興機構(JST)の発表をもとに作成。
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