マイクロ波回線でのIP/PTPによるSTL伝送に世界初成功
株式会社メディアリンクスは、世界で初めてマイクロ波の実用回線上でIP/PTPを用いたSTL伝送の実証試験に成功した。STLとはStudio to Transmitter Linkの略称で、放送局から送信所まで放送信号を伝送するための回線のことを指す。
現在、放送システムは従来の同軸ケーブルを用いたシステムからIP技術を用いたシステムに急速に変わりつつあるが、送信所の場所が有線の回線構築に不向きな事が多いため、マイクロ波を用いた専用回線の使用が主流となっている。そのため、マイクロ波回線上のPTPを用いたIP伝送技術の開発が必要とされていた。
メディアリンクスは、有線の伝送回線上でPTP(Precision Time Protocol)を用いたSTLの技術を開発してきた。PTPとは、1ns(10億分の1秒)の高精度な時刻合わせを行うためのプロトコルだ。今回、マイクロ波を用いた専用回線上でSTL over IP/PTPを実現する新技術を開発し、オシロクォーツ社と共同で実際に放送で使用されているマイクロ波回線上で実証実験を行った。
実証実験は2024年5月13日から17日の期間、フィリピンの放送局で行われ、放送コンテンツの伝送の正常性とPTPによるタイミングの正確な伝送が確認された。これにより、世界で初めてマイクロ波回線上でIP/PTPによるSTL伝送の実現に成功したという。
メディアリンクスの代表取締役社長である菅原司氏は、この実証実験の成功により、放送システムのIP化においてIP伝送が困難であったマイクロ波回線上でのIP/PTPによるSTL伝送が実現可能となったとコメントしている。今後は放送局内のIP化への提案のみならず、このSTL伝送のIP化の提案を行い、放送システムのフルIP化に貢献していくとしている。