パナソニックHD、AIモデルの「見落とし」に着目した新技術を開発

パナソニック ホールディングス株式会社は、AIモデルが見落としてしまった物体に着目することで、少ない学習データで精度良くAIモデルの横展開を可能とするAI技術を開発した。

画像認識AIの現場導入では、開発済みのモデルの横展開による効率化に注目が集まっているが、撮影条件が異なる環境では認識性能が低下してしまう課題がある。一般的に認識性能を向上させるには、新しい環境における大量の教師データが必要であり、コストや時間を要する。

これに対し、学習に効果がありそうなデータをAIが自動的に選出し、少量のラベル付けのみで、全てのデータにラベル付けした場合と同等の効果を得る「アクティブドメイン適応法」という手法が提案されている。しかし、この手法ではAIモデルが「見落とした」データは、未検出を防ぐ重要な情報を含んでいるにも関わらず、学習データとして選出されにくいという特性があった。

そこでパナソニックHDは、AIモデルが「見落とした」データも考慮可能なアルゴリズムを新たに開発。ベンチマークデータセットを用いた評価実験では、新しい環境のデータのうち僅か5%の画像にラベル付けをするだけで、全データにラベル付けした場合と同等の認識性能であることを確認した。

本技術は、パナソニックグループのトップ人材育成プログラムREAL-AIの研究成果として、2024年6月17日から21日まで米国シアトルで開催されるコンピュータビジョン分野のトップカンファレンスCVPR2024で発表される。

パナソニックHDは、社会実装を加速するAI技術の研究・開発とAIトップ人材の育成を通して、お客様のくらしやしごとの現場へのお役立ちに貢献していく方針だ。