岐阜市、学校でのAI活用で実証事業開始

教育機関・学校に特化した生成AIでの学習支援・校務支援サービス「スタディポケット」を提供するスタディポケット株式会社は、岐阜市が自治体として全市的に取り組みを行う、中学校での生成AI活用の実証事業について、共同で取り組むことを発表した。

この実証事業では、岐阜市立長良中学校を実証モデル校とし、市内小中学校の様々な立場の教員を対象に、「教務」「校務」の両面から生成AIの活用支援を行う。生徒向けには、生成AIを活用した探究的な学びと個別最適な学びの実証、教職員向けには生成AIを活用した校務の負担軽減による働き方改革ならびに創造的な活動について、実証を行う予定だ。

スタディポケットは、「スタディポケット for STUDENT」と「スタディポケット for TEACHER」を提供し、生徒児童向けの学習支援と教職員の校務効率化の両面から、教育現場のDX化と新たな可能性を模索する。

政府のデジタル行財政改革会議では、文部科学省により生成AIの校務活用を2025年度までに50%とするKPIが示された。これは、1年以内に2万校以上の学校での導入支援の体制が急務であることを意味しており、スタディポケットはその一端を担える存在となることを目指している。

一方で、校務での活用のパイロットプログラムを通じて、生成AIの組織全体への定着には様々な課題があることが明らかになった。スタディポケットは、蓄積してきた成功事例やノウハウを、岐阜市並びに岐阜市教育委員会、各導入校に対してサポートを提供していく考えだ。

教育現場での生成AIの活用にあたり、ハルシネーション(事実と異なる内容を生成すること)のリスク、著作物の取り扱い、教育的意義の尊重といった課題に対して慎重な姿勢を維持しながら実証事業を行う。特に生徒の利用においては保護者の許諾を得るなどの前提を踏まえた上で、文科省の各種ガイドラインに基づいて実証実験を行う方針だ。

スタディポケットは、マイクロソフト社による技術支援を受け、生成AIの基盤技術である大規模言語モデルの運用において「Azure OpenAI Service」を採用し、生徒児童が学校で安心・安全に利用できる環境を提供している。また、コンテンツフィルタリング機能の搭載や、生徒の個人情報をできる限り取得せず第三者提供を行わない仕様など、セキュリティ面にも配慮している。