Dellows News

大阪ガスがインドネシアの水田メタン削減で生物多様性評価技術を提供へ

大阪ガス株式会社(代表取締役社長CEO:藤原 正隆)は、UAEのコモディティートレーディング企業であるOffset8 Holding Limited(共同創業者・取締役:Jules Thierry Michel Maitrepierre、以下「Offset8社」)と生物多様性評価技術を提供する契約を締結した。同技術は、Offset8社およびインドネシアの気候テック企業であるSAWA EcoSolutions Pte Ltd(以下「SAWA社」)が推進する、間断かんがい技術(Alternate Wetting and Drying、以下「AWD」)を活用したインドネシアでの水田由来メタン排出削減プロジェクトに提供される。大阪ガスはプロジェクト組成を支援するとともに、二国間クレジット制度(以下「JCM」)を通じて創出が見込まれるクレジットの一部を購入する予定で、インドネシアにおいて同技術を適用したJCMクレジットの創出は初めてとなる。

環境DNA分析による生物多様性への影響評価

提供される生物多様性評価技術は、水や土壌、大気などの環境中に放出された微量な遺伝子情報である環境DNAを分析し、生態系や生物多様性への影響を可視化・評価するもの。AWD実施前後の水田の水中に存在するトンボやカエルなどの生物の環境DNAを分析・比較することで、保全活動の優先順位づけや環境施策の効果検証につなげることが可能となる。これにより、AWDによるメタン排出削減に加え、生物多様性に関する価値も付加したJCMクレジットの創出を目指す。

農業分野におけるJCM方法論の一つであるAWDは、水稲の栽培期間中に水田の水を一定期間抜いて土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返す手法である。農林水産省「間断かんがい技術(AWD)による水田メタン削減について」(2025年6月)によると、常時水を張った状態の水田と比較してメタンの排出量を約30%削減できるとされている。世界有数の米の生産地帯であるインドネシアにおいて水田由来のメタン排出削減は重要とされる一方、水田環境の変化が生態系に及ぼす影響への懸念もあるため、生物多様性への配慮が求められている。

本プロジェクトの推進にあたっては、以下の体制で取り組みが進められる。

  • SAWA社と、1973年設立のインドネシアの全国規模の農業団体であるHimpunan Kerukunan Tani Indonesia(以下「HKTI」)が連携し、インドネシア38州に広がるHKTIのネットワークを活用してAWDを導入する農家や農地の開拓、導入支援を行う
  • Offset8社がプロジェクトへの投資およびファイナンス支援を担当する
  • 大阪ガスが生物相の変化などを分析・可視化するサービスとして生物多様性評価技術を提供する

現場支援と今後の展開

HKTI事務総長兼インドネシア検疫庁長官のAbdul Karding(アブドゥル・カルディン)氏は、SAWA社と連携して50万ヘクタールの農地で環境配慮型の稲作手法を導入し、節水とともに年間最大300万トンの炭素排出量削減を目指す方針を示している。農業普及員とともに現場で農家に寄り添い、収入や収穫量の向上に結びつける計画だという。

大阪ガスは、本プロジェクトを通じてAWDの普及に貢献するとともに、国内外のカーボンクレジット事業において同技術の活用を拡大し、脱炭素と生物多様性保全の両立に貢献していく方針である。また、Offset8社は、インドネシアでのAWD推進を通じて日本のコンプライアンス・カーボン市場におけるプレゼンス向上を目指すとしている。

本記事は大阪ガスの発表をもとに作成。

アクセスランキング

今日

1週間