日清紡、低消費電流のLDOレギュレータ発売

日清紡マイクロデバイス株式会社は、2024年3月21日に、業界トップクラスの低消費電流と低電圧出力を実現したLDOボルテージレギュレータ「NR1620シリーズ」を発売した。この製品は、民生機器や産業機器向けに設計されており、その特徴は150mAの出力電流と0.4μAの超低消費電流、そして0.4Vの低出力電圧である。

M2M(マシン・トゥ・マシン)やIoT(インターネット・オブ・シングス)市場の拡大に伴い、WSN(ワイヤレス・センサー・ネットワーク)技術の向上が求められている。そのため、無線センサー端末には小型化、低消費電力化、通信速度の高速化といった特性が必要とされている。これらの要求を満たすためには、マイコンのコア電源や各種インターフェイス電源の低電圧化、端末に搭載される個々のデバイスの低消費電流化が重要となる。

「NR1620シリーズ」は、そのような要求を満たす製品である。起動時の突入電流対策として、起動時の電流を一定の値で制限する機能を内蔵している。これにより、突入電流を抑制したり、後段デバイスの電源入力に制約がある場合の制御が容易になる。

さらに、「NR1620シリーズ」は、電源入力端子(VIN)から独立したバイアス電源入力端子(VBIAS)でNMOSパワートランジスタを駆動することで、高効率レギュレーションを実現している。VIN入力電圧は0.6VからVBIASまで対応可能で、出力電圧は0.4Vから1.2Vまで0.1V刻みで設定可能である。また、イネーブル端子で製品をオフした時に後段容量をディスチャージする機能の有無を選択することができる。

製品のパッケージは、面積と放熱性のバランスが取れたDFN1212-6-GK(1.2×1.2×0.4mm)と、汎用的なSOT-23-5-DC(2.9×2.8×1.1mm)の2種類が用意されている。SOT-23-5-DCは2024年5月からの受注を予定している。

このように、「NR1620シリーズ」は、その低消費電流と低電圧出力により、バッテリー駆動システムの長時間駆動を実現する。これは、スマートウォッチやスマートバンド、健康管理装置などのウェアラブル機器や、リチウムイオン電池やコイン電池を使用する機器など、低消費、長時間駆動が必要なシステムの電源に最適である。

また、「NR1620シリーズ」は、0.4Vの低出力電圧とともに小さい入出力電圧差を実現しており、システムの低電圧化への対応および、システム動作の効率化に貢献する。さらに、起動時の電流制限機能により、突入電流対策を実現している。これにより、電源起動時の電圧傾斜の制約や、後段の容量が大きく、突入電流による誤動作が発生する可能性があるデバイスでも安心して使用することができる。