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【大阪工業大学】光合成細菌をヒントに光エネルギーの流れを制御する新材料を開発

大阪工大ら、光合成細菌に着想を得た新材料を開発 空気中で光エネルギー変換を実現

CATEGORY: テクノロジー

大阪工業大学と台湾の国立陽明交通大学などの共同研究グループは、光合成細菌のメカニズムに着想を得て、光を受けた分子のエネルギーの流れを制御する新材料を開発しました。高分子が形成するらせん状のナノ空間を利用することで、光エネルギーの変換と円偏光発光を空気中で同時に実現しています。

本研究成果は、2026年10月2日付で米国化学会(ACS)の学術誌『Journal of the American Chemical Society』に掲載されました。

光合成細菌の捕集機構に着想

光合成は植物だけでなく一部の細菌も行っており、例えば緑色硫黄細菌は光の届きにくい環境で酸素を発生しない独特な光合成を行います。緑色硫黄細菌は限られた光エネルギーを効率よく利用するため、色素分子をナノメートルスケールの規則的な空間に集積させた光捕集構造を持っています。

研究グループはこの仕組みに着想を得て、立体規則性の異なる高分子から形成される複合錯体を利用し、光を取り込む捕光分子と光を発する発光分子を取り囲むらせん状のナノ空間を構築しました。

酸素による阻害を克服し空気中で発光

ナノ空間内では、捕光分子から発光分子へエネルギーが移動するだけでなく、発光分子間で起こるエネルギー移動の速度も速められることが分かりました。通常、低いエネルギーの光を高いエネルギーの光へ変換する「フォトンアップコンバージョン(TTA-UC)」では酸素が大きな阻害要因となりますが、エネルギーが失活するよりも速く受け渡すことで、空気中での観測を可能にしました。

これにより、空気中でのTTA-UCとともに、キラルならせん状ナノ空間を通じて右回りあるいは左回りに振動する光「円偏光発光(CPL)」を同時に実現することに成功しました。

今後の応用と展開

本成果は、分子そのものを改変するのではなく分子が存在するナノ空間を設計することで、光エネルギーの流れと偏光状態を制御する材料設計の考え方を示したものです。研究グループは、太陽光を利用したエネルギー変換材料や、偏光を利用した発光・光情報デバイスなどへの応用展開が期待されるとしています。

また、実験動画(https://www.youtube.com/watch?v=NArf4QezHnI)では、ピンク色のゲルの試料に532 ナノメートルの緑色レーザー光を照射した際、青白いアップコンバージョン発光が観察される様子が公開されています。

発表論文の概要

  • 論文名:Helical Nanocavity-Driven Upconversion Circularly Polarized Luminescence with Efficient Triplet Dynamics in Poly(methyl methacrylate) Stereocomplexes
  • 著者名:Towa Shinoda, Mayu Mine, Wataru Kashihara*, Arisa Gono, Ayano Tokoroyama, Chia-Yu Lin, An-Ting Pan, Noboru Ohta, Yoshinobu Nakamura, Syuji Fujii, Tatsuo Nakagawa, Hiroaki Hanada, Ming-Chia Li*, Tomoyasu Hirai* (*責任著者)
  • 雑誌名:Journal of the American Chemical Society
  • DOI:10.1021/jacs.6c16205
  • URL:https://doi.org/10.1021/jacs.6c16205
  • 公表日:2026年10月2日(オンライン公開)

本記事は大阪工業大学の発表をもとに作成しました。

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