東京理科大、可視~近赤外光に対応した硬性内視鏡システムを開発

東京理科大学の研究グループは、可視光から近赤外線までの広い波長範囲(490~1600nm)でハイパースペクトルイメージング(HSI)を実行できる硬性内視鏡システムを世界で初めて開発した。

HSIは物質表面で吸収・放射・反射される光を、可視光や赤外線などの広範な波長範囲で捉える技術だ。通常のデジタルカメラが赤・緑・青の3色の波長帯で対象を捉えるのに対し、HSIでは光を数十から数百もの連続する細かな波長帯に分光して情報を収集できる。これにより、対象物のより細かな色や特徴の判別が可能となり、成分分析や状態評価に応用されている。

研究グループは特定の波長を連続的に抽出できるスーパーコンティニューム光源と音響光学可変フィルターを組み合わせ、可視光~1000nm以上の広い波長範囲でHSIを実行できる硬性内視鏡を開発し、その特性を評価した。

ニューラルネットワークを用いて6種類の樹脂片の分類試験を行ったところ、1000nm以上の近赤外領域の光を使用する場合、精度99.6%、再現率93.7%、特異度99.1%での分類を実現できた。

本研究の発展により、人間の目では識別できない異物の検出や成分の特定が可能となり、広範な分野での分析技術の進展が期待される。

研究成果は2024年4月17日に国際学術誌「Optics Express」にオンライン掲載された。