消費者や日本メーカーを守る、日本酒の原産地を科学的に特定する新技術

日本流通管理支援機構株式会社は、ダイヤモンドの産地鑑定技術を応用し、日本酒の原産地を特定することに成功した。この技術を用いることで、「いつ、どこの酒蔵で作られたのか」までピンポイントで特定できるようになった。

近年、高額な日本酒の空き瓶がインターネットで販売され、中身だけが入れ替えられて海外で取引されるという事例が多発している。また、新酒発表会の直後に、輸出した覚えのない国に並んでいるという実態もある。世界で流通している酒の30%は偽造品ともいわれているが、消費者はもちろん、輸入業者や販売者が本物か偽造品かを判断する方法はなかった。

同社が提供している国内唯一の”科学的”原産地証明サービス・「産地の証印™」を使えば、本物か偽造品かを正確に判断することができる。このサービスは、ダイヤモンドの産地鑑定で用いられる技術を応用したもので、「どこの酒蔵で作られたのか」「どこの畑で育ったのか」「どこの海で獲れたものか」というピンポイントな原産地の証明ができる。

「産地の証印™」は日本に先んじて、海外で多くの実績がある。例えば、ウクライナ-ロシア間の穀物をめぐる問題では、原産地を特定することで、「略奪されたものではないか?」という検証をすることができる。他にも、コーヒーやワイン、アワビ、肉類など、あらゆる食品や加工品での実績がある。

これまで原産地鑑定といえば「DNA鑑定」を用いることが一般的だったが、日本酒の場合はDNAを持たないため、DNA鑑定は使用できない。また、QRコードやRFIDを使った対策もあるが、コードやタグが偽造されてしまう可能性もある。しかし「産地の証印™」なら、国内外問わず、どこからでも本物か偽造品かを判断することができる。

日本酒の場合は、50-300万円程度から分析情報を作成可能だ。価格に幅がある理由は、製造地点の数や生産頻度、添加物の有無、検証の頻度などによって変わってくるからだ。

同社は分析だけでなく、現地にいるサポーターと連携し、偽造品の疑いがある日本酒をピックアップ、ラボに送るというサービスも行っている。ラボで解析後、数日で鑑定結果のレポートを提出し、偽造品販売業者を特定し、取引を停止させることが可能だ。解析を重ねることで日本酒のデータが集まり、精度がさらに高まることが期待される。

偽造された日本酒が流通すると、日本酒ブランドの価値が下がり、経済的にも大きな損失となりかねない。本物の日本酒ブランドの価値を守り、輸出量を増やし、世界に日本酒ファンを増やすためにも、このサービスが役立つと考えられる。