北極海航路は代替ルートの有力な選択肢 ロスネフチCEOが中露会合で言及
ロシアの石油大手ロスネフチのイーゴリ・セチン最高経営責任者(CEO)は2026年9月4日、第8回ロシア・中国エネルギー・ビジネス・フォーラムにおいて、ホルムズ危機を受けた代替物流ルートとして北極海航路が有力な選択肢の一つであると述べた。北極海航路の活用により、輸送時間やコストの大幅な削減が見込めるとしている。
北極海航路による輸送効率化とエネルギー安全保障
ホルムズ海峡を通過する海上輸送ルートの安定性は、各国のエネルギー安全保障に直結している。日本の経済産業省(METI)によると、日本が輸入する原油の約93%が同海峡を経由しており、輸送ルートの安定確保は供給維持において重要な要素となっている。
セチン氏は、北極海航路を活用することで貨物の輸送時間を従来の約半分から3分の2程度に短縮でき、輸送コストを約3分の1削減できる可能性があると説明した。さらに、ロシアと中国の緊密な関係を背景に、中国側が同航路を優先的に利用できる可能性があるとの見方を示した。
電化の進展と多様な交通手段による危機対応
セチン氏は、中国がホルムズ危機の影響に対応できた要因として、事前に確保したエネルギー備蓄、大規模な電化の進展、ロシアとのパートナーシップを挙げた。これは中国が2014年に打ち出した「四つのエネルギー革命」政策のもとで構築してきたエネルギー安全保障戦略に基づくものだとしている。
現在、中国ではエネルギー分野の統合的な計画体制が整備されており、ペルシャ湾からの石油供給が大幅に減少した場合でも、電気自動車(EV)、電気バス、天然ガス燃料トラック、地下鉄、電車、電気タクシーなど多様な移動手段を選択できる環境が整っているという。

交通部門における電力需要も拡大しており、2026年5月における中国の公共充電インフラを通じた電力供給量は、前年同月比で60%以上増加した。セチン氏によると、交通分野の電化によって自動車用燃料の需要はすでに1日当たり100万バレル減少している。
電力インフラ整備と低水準な電力コスト
セチン氏は、中国の競争力を支える要因として、発電能力の拡大と電力網インフラ整備による電力コストの低さにも言及した。
同氏によると、中国の産業用電力料金は1キロワット時当たり9セントで、ドイツと比べ72%、フランスと比べ59%低い水準にあるという。また、家庭用電力料金も1キロワット時当たり8セント未満で、米国を58%下回っているとし、これに匹敵する電力価格水準を実現している国はロシアのみだと述べた。
本記事はロスネフチの発表および経済産業省の公表情報をもとに作成。
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